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あれは小学校5年生の夏の時だった。
暑い日差しの中。
裏の畑で友達とできの悪いスイカたちとスイカ割りをしていた。
海を知っている。
でも、僕たちは行った時はなかった。
大きな入道雲。潮の匂い。地平線まで続く大海原。想像はするけれど、ここは山に囲まれた小さい町。御三増町。
「右。左。もうちょっと左。あ、そこだ」
目隠しをして、棒切れを持った僕は友達の篠原君の言葉を頼りに、数十歩先のスイカを見事に一振りで割った。
スイカはパカリと割れて、中の真っ赤な実と種が辺りに散乱した。
スイカの匂いが強くなって、同時に緑の匂いと日差しの蒸し暑さが漂った。
「篠原君はいいね。篠原君の声を聞いていると、スイカのところへ簡単に行けるよ」
篠原君はタイガースの帽子を目深にかぶって、「当たり前だよ」と言った。
「篠原君。こっちもお願い」
藤堂君も目隠しをして、棒切れを構え。蒸し暑いスイカの匂いで嗅覚が駄目になる場所で、右へ三回クルクルと回る。
「もっと、右」
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