炎の終末世界、私はペットと氷菓を

炎の終末世界、私はペットと氷菓を

桜雲さくら

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妊娠2か月、姑に7年育てた犬を毒殺され、5年育てた猫を撲殺された。 夫は私に詰め寄った。「うちの子どもと、その犬猫と、どっちが大事なんだ!?」 やがて、灼熱の終末世界が訪れた。彼らは、私が子どもを産んだあとで――私を家から追い出した。 私は、容赦ない太陽に炙られ、生きたまま焼け死んだ。 ……目を覚ますと、世界が崩壊する直前に戻っていた。 私はすぐさま堕胎し、大切な子たちを抱えて脱出。 極限の高温に襲われる中、姑一家は命からがらの暮らしを強いられることとなる。 そのころ私は、自分で建てた安全なシェルターで、アイスを食べ、冷房を浴びながら、猫を撫で、犬と戯れて、誰よりも幸せに過ごしていた。

第1章再生

妊娠二ヶ月の時、姑は七年間飼っていた犬を毒殺し、五年飼っていた猫を撲殺した。

夫は私に問い詰めた。「僕たちの子供と、その犬猫たちと、どっちが大事なんだ?」と。

やがて、灼熱の終末世界が訪れると、彼らは私がお腹の子を産むのを待ち、用済みとばかりに家から放り出した。

私は、照りつける太陽に灼かれ、絶命した。

再び目を開けた時、私は終末世界が始まる前に戻っていた。

すぐさま中絶手術の予約を入れ、愛するペットたちを抱きかかえると、私は一目散にあの家から逃げ出した。

姑たちが極限の暑さの中でのたうち回るのを尻目に、

私は自分で築いたシェルターでアイスを頬張り、エアコンの涼風を浴びながら、愛しい犬と猫を撫でる。これ以上の幸せはない。

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「何度言ったらわかるの!犬や猫は汚いんだから!体中ウイルスだらけじゃないの!」

「明日すぐに捨ててきなさい!」

甲高い罵声が鼓膜を突き刺し、頭がずきりと痛む。

目を開けると、そこには姑である王雲珍の、鬼のような形相があった。

息が詰まるような蒸し暑さはなく、唇も舌もひび割れるような渇きは感じない。

私は慌てて壁のカレンダーに目をやった。

信じられないことに、私は生まれ変わっていた。妊娠二ヶ月だったあの頃に。

それは、灼熱の終末世界が訪れる、ちょうど二ヶ月前のことである。

死ぬ直前の記憶が蘇る。極度の高温により、私たち家族は家の中に閉じこもり、一歩も外へは出られなかった。

陣痛が始まった時、王雲珍は己の経験だけを頼りに、家で私の子を取り上げた。

耐え難い痛みの末、ようやく子供を産んだものの、私は大出血を起こしてしまった。

虫の息となった私を見るや、彼らはためらうことなく私を家の外へ放り出した。

いつもは私の言いなりだった夫の唐暁忠でさえ、助けを求める私の声に、一言も発しようとはしなかった。

私は灼熱の太陽に身を焼かれ、死んだ。

死の間際に、私はようやく悟ったのだ。

唐暁忠がいつもあれほど従順だったのは、彼がただのマザコン男だったからに過ぎない。

彼にとって何よりも大切なのは、母親ただ一人。

そしてその母親である王雲珍は、人間性を失うほど悪辣な女だった。

私が妊娠二ヶ月だった時、王雲珍は七年間飼っていた犬を毒殺した。

豆豆と名付けた、大きなゴールデンレトリバーだった。

豆豆はとてもおとなしい子で、王雲珍に目の敵にされ、殴られ蹴られても、悲しそうにクンクンと鳴くだけで、決して逆らうことはなかった。

そんな王雲珍が差し出した餌を、豆豆は喜び勇んで尻尾を振りながら食べた。

それが、命取りになった。

豆豆が死ぬと、王雲珍は次に五年飼っていた三毛猫の魚絲に目をつけた。

魚絲は賢く、彼女が与えるものは決して口にしなかった。

業を煮やした王雲珍は、私の留守中に魚絲を捕まえ、棍棒で殴り殺した。

ねじ曲がった亡骸を目にした私は、泣きながらその場で嘔吐した。

だが、唐暁忠は平然と言い放った。「たかが犬猫じゃないか。また飼えばいいだろ」

「もう何年も飼ってたんだ。どのみち長くは生きられなかったさ」

私は聞く耳を持たず、泣きわめいて王雲珍に掴みかかろうとした。すると唐暁忠は、今度は怒りを露わにして私を問い詰めた。

「一体どっちが大事なんだ!?僕たちの子供か、それともその犬猫どもか!」

だが、ひとしきり怒鳴り散らした後、彼は私の前に跪いて謝るのだ。

「ごめん、君を怒鳴るべきじゃなかった。僕が悪かった」

「僕だって、お腹の子やこの家のことを考えて言ってるんだ」

「もし、ペットが原因で僕たちの子供に何かあったら、どうするんだい」

彼の謝罪は心からのものに見え、時には涙さえこぼした。

その甘い言葉と涙に、私は結局、耐えることを選んでしまったのだ。

その忍耐が、やがて私自身の命を奪うことになるとも知らずに。

罵詈雑言を吐き散らす王雲珍。ソファに座り、無関心を装う唐暁忠。そして、部屋の隅で元気にじゃれ合っている豆豆と魚絲。

目の前の光景を眺める私の瞳の奥に宿るのは、ただ凍てつくような冷たさだけだった。

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