籠の中の身重な鳥、冷酷な御曹司の甘い束縛

籠の中の身重な鳥、冷酷な御曹司の甘い束縛

魔法の羽

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冷めきった夫・鷹司彰。二年間、秘書と妻の二役を務めた三谷美月は、どれだけ尽くしても彼の心を動かすことができなかった。 運命の分かれ道は、彼の初恋である佐野佳世の帰国だった。二人は揉めることなく離婚し、半年後、美月は予期せぬ妊娠を知る。長きにわたる恋を諦め、彼女はお腹の子を連れて遠くへ逃れた。 彰と佐野佳世の幸せな報せが届くたび、美月は心を穏やかに祝福した。だが出産の瞬間、状況は一変する。 もうすぐ幼馴染と夫婦になるはずの彰が、突然産室の前に現れ、もう一度共に生きたいと訴えてきたのだ。 「この子はあなたのものではないわ」 「たとえそうでも、俺は絶対に離さない」

籠の中の身重な鳥、冷酷な御曹司の甘い束縛 第1章

真夜中、三谷美月は新生児の写真を投稿し、「ママになりました!」とコメントを添えた。

投稿から一時間も経たないうちに、離婚して半年になる元夫の叩く音が玄関に響いた。

扉を開けると、鷹司彰の険しい表情が目に入り、三谷美月の住む賃貸部屋の空気が一気に凍りついた。

美月はドアノブを強く握り締め、「どうして来たの?」

男は無表情で黙ったまま足を踏み入れ、ピカピカに磨かれた革靴が古い団地の花柄床板に触れ、この場に似つかわしくない異質な雰囲気を生んだ。

ここは初めてではないらしく、彼は迷わず美月の寝室へ向かった。

彼の秘書である遠藤航が、契約書を手に三谷美月に差し出した。

「三谷様、お久しぶりです。これは鷹司総帥の専門弁護士が徹夜で作成した親権協定書です。」

美月は書類を受け取り、目を通した。

『鷹司家の長男たるこの子は、鷹司家にて養育・成人させるものとする。』

長文の条項の中から、美月はたった一行の核心を的確に読み取った。

やはり、鷹司彰は親権を奪いに来たのだ。

彼なりの温情として、美月は子供が三歳になるまで養育することを許されていた。

ただし彼女が応じた場合に限る。もし拒否すれば、即刻子供を連れ去ると記されていた。

美月の心の奥から微かな痛みが湧き、全身に広がっていく。

彼女が茫然としている間に、鷹司彰が寝室から出てきた。

「子供はどこだ?」

二年前に彼と結婚した時から、美月は鷹司彰が無口で冷徹な人間だと知っていた。

だが彼は紳士的で、過ちで関係を持った責任から、結婚を申し込んでくれたのだ。

美月がその申し出を受け入れたのは、六年間の片想いがあったからに過ぎない。

しかしこの状況で、彼はあまりにも言葉が少なすぎる。

他に言いたいことは何もないのだろうか。

遠藤航は美月に同情の眼差しを向け、張り詰めた空気を和らげようと、そっと部屋を出て扉を閉めた。

狭い部屋の中は、夜の静けさに包まれていた。

沈黙を破るように、美月がふっと笑った。

「何の子供のこと?」

鷹司彰はリビングの真ん中に、まっすぐな姿勢で立っていた。

頭上の薄暗い照明が彼を覆い、端正な顔立ちをぼやけさせている。

振り返った美月の白く細い顔は灯光に照らされ、澄んだ瞳は何もかも見透かすように透明だった。

まるで本当に彼の言葉が理解できていないかのように。

「時期を計算すれば、離婚時にはすでに妊娠していたはずだ。それなのに、なぜ離婚を求めた?」

鷹司彰の問いかけには、一切の感情が含まれていなかった。

ただ純粋な疑問だけだ。

結婚してから美月は悟った。彼が結婚したのは、ただ責任を取るためだけだったのだと。

強いて他の理由を挙げるなら、合法的な肉体関係の相手を求めていたに過ぎない。

二年間の結婚生活で、美月は自分が彼の心の中でどんな位置にいるか、はっきりと理解した。

孤児院で育った美月は、愛情も安心感も欠けていた。

この結婚は、彼女に一切の温もりを与えてくれなかった。

夜、彼が情熱的に彼女だけを見つめる瞬間を除いては——

だから、離婚を切り出したのは美月自身だ。

鷹司彰はただ一言、「後悔しないなら、いい」と言った。

離婚届を提出した当日の午後、美月は異動を申し出、別の地区にある支社の総支配人に就任した。

半年間会わないうちに、彼女は子供を産んだ。

鷹司彰自身も、胸に渦巻く感情を言葉にできなかった。

「佐野さんのために場所を空けただけよ」美月は淡く笑い、「この子を連れ帰ったら、佐野さんは納得するのかしら。結婚間近だと聞いているけど、彼女が怒って別れたら、どうするの?」

佐野佳世は、鷹司彰が生涯唯一愛した女性だと言われている。

二人は幼馴染だったが、過去に理由もなく別れ、佳世は海外へ渡った。

その後数年、鷹司彰はスキャンダル一つなく独身を貫き、メディアは度々、彼が佳世の帰国を待っていると報じていた。

半年前、佐野佳世が帰国したことが、美月が残した最後の未練を断ち切る最後の一押しとなった。

彼女の帰国を知ったその夜、美月は即座に離婚を申し出た。

「それはお前の関係ないことだ。考える必要もない。」

鷹司彰の態度は変わらず、微塵も動じることなく言い放った。「お前は利口な人間だ。この子はこんな貧しい環境で育つべきではない。鷹司家に帰るのが、何より正しい選択だ。」

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