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ブラッディ・ソムリエ

離婚後、腹黒エリートの愛が止まらない

離婚後、腹黒エリートの愛が止まらない

月城 セナ
10年尽くした恋の終着点は、冷たい離婚届と嘲笑だった。 「跪いて頼めば、戻ってやってもいい」——冷泉木遠のその言葉に、赤楚悠はきっぱりと背を向ける。 三ヶ月後、世間が震えた。 彼女は世界的ブランド“LX”の正体不明のデザイナー、億を動かす実業家、そして…伝説の男・周藤社長に溺愛される女。 跪いて懇願する冷家に、彼女はただ一言。 「今の私は、あなたたちには高嶺の花すぎるの」 ——逆転と誇りに満ちた、爽快リベンジ・シンデレラストーリー!
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優しく体を包み込む気持ちの良い風。さわやかなほどに透き通っている川の色。上を見上げれば涼しそうに空を飛ぶ鳥たち。 そんな中で春の桜とともに新しい生活が幕を開けようとしていた。

「おはよー、久しぶり!」

僕の周りから清々しいほどの新しい声が聞こえてくる。そんな朝だった。

そう。今日から学校生活が始まるのだ。

真面目にお勉強をして部活して沢山の青春をみんながおくる場。

つまり陽キャラだけの世界。

学校では何のとりえもなく、ただ授業をうけ部活をしないで帰る影の人々には入るスペースのない場所。楽しくなんてない人生の通過点でしかない場所だ。

とは言ったものの......

陽キャラでも学校早く終わってほしいと思っている人がほとんどだろう。

そりゃ勉強している暇があったら遊びたいって思うだろう。それは誰にだって言えることだ。

だがしかし!!学校での過ごし方が陰キャラとは大違いなのだ。

つまらないの質が違う。

陽キャラはいつもクラスで騒ぎ立ててる.....

い、いや楽しそうに話しているし、女子とも話している。そしてみんなで昼ご飯を食べて放課後は遊びに行く。

その片隅に陰キャラは一人でご飯を食べ、虚しく本を読み、陽キャラのパシリを食らうのだ。

学校生活の差が開きすぎているのだ。

これがつまらないの質の差

故に青春の差だ。

僕から言えば、楽しく話している時間があるだけで幸せだと思うべきと思うのだ。

一回で良いからこちら側の生活をしてほしいくらいだ。

陽キャラには想像絶するくらいのつまらない生活を日々送り続けている。

しかし、中には友達なんて必要ないとか思っている人も少なからずいるだろう。

けどそれはほんの一部に過ぎない。

確かにいらないよ。僕も特別仲間が欲しいわけじゃない。一人なら一人で良いという思考をもっている。

しかし問題が生じてしまう。

本が静かに読むことができないのだ。

陽キャラの楽しい楽しい声が限界を超えて面白い場面や感動する場面を帳消しされてしまい、なんとなく本を読んだorまあまあ面白かった本、みたいな感じで終わってしまうのだ。

つまりは感情が入りずらくなってしまうということ。それは陰キャラにとって命とりみたいなものなのだ。

よ~く考えてみてほしい。

陽キャラだって有名なアニメくらいなら見ている人は多いだろう。

その作品を見ている最中にわ~わ~騒ぎ立てられるのはいらだってくるだろうし、ましてや、いいシーンの時に邪魔されたらひとたまりもないだろう。

それを僕たちは毎日のように受けている。

いやそんなの知るかよ!!って思うやつがほとんどなのはわかっているけど!!

けどうるさいのは誰だってあんまりいい気分ではないだろう、何もしていなくてもうるさいのは嫌なはずなんだ。

んんん???

なにを馬鹿みたいに語っているんだ僕は??

ま、まぁとにもかくにも学校は最悪なのだ。

行きたくないのだ。

僕はその声を遮断するようにため息をつき歩行速度をあげた。しかしそんな僕を現実に引っ張り上げるようにして声をかけてきた奴がいた。

「よう!雷斗!朝からこの世の終わりみてーな顔してんな!」

このやけにニヤニヤしながら話しかけてきた男は僕の自称友達の久遠 颯

中学校の時から付きまとってくる厄介な奴(この説明だといきなり奴の印象が悪くなりそうだから一応友達ということにしておこう)だ。

「朝からテンションが高すぎるんだよ...」

久遠とは中学の時からの付き合いだ。奴は僕とは真逆で友達の幅も広く、コミュニケーション能力の高い、うるさい、つまりは陽キャというわけだ。なぜこんな奴が僕にまとわりついてくるのかはわからない。(僕は君と住んでる世界が違うのに)

「お前がテンション低すぎるだけなんだよ!このヘタレが」

「これが普通だろ、だいたいそんなテンションでいたら一日持たないでしょ、あとヘタレ発言 全世界のヘタレに謝れ」

僕こと 一ノ瀬雷斗は世界を代表するHP節ヤカーである。休みの日は基本 外には出ない。春休みだって2回しか外出していない。そのうちの1回は久遠にムリヤリ遊びに連れていかされて外に出たし、実質自分の意志で外出したのは1回しかない。だいたいは家でゲームしてるか本を読んでいる。

「まぁ雷斗は節ヤカーだもんなー」

「よくわかっているじゃないか」

そんなくだらない話をしていると周りでざわつき始めた。

それは学園一有名で一目置かれている美少女が現れたためだった。

「きたぞー学園の美少女、やっぱりかわいいな~~」

「そうだなー」

「ってなんだよその棒読みは、少しはかわいいと思わないわけ?」

かわいいといわれるとかわいいのかもしれない。しかし、今までアニメや本でしか真面目に女性というものを見てきていなかったため、どのくらいの程度でかわいいに分類するのかが分からなかった。中学時代も現在進行形でも女性とは話していないし顔もまともに合わせたことのない相手からでも良い印象は持たれていなかったから異性の人と話す機会がなかった。そもそも男でも話しかけてくれる人なんて久遠くらいしかいなかった。

「僕らには高嶺の花だよ」

僕は吐き捨てるようにしていった。

「お!また同じクラスだな!俺がいなかったらボッチ確定してたんじゃないか?」

クラスが表記されている貼り紙を見て僕の自称友達が煽りながら言ってきた。

二年生になってこの騒がしい奴と離れられると思ったのも束の間、僕はため息を大きく吐き捨てた。

「まとわりついてくんなよ、僕のボッチ&陰キャライフがどんどん浸食されていくだろ」

「ひでぇなおい!しかもなんでボッチ陰キャを誇りに思ってんだよ!」

久遠がそんなツッコミを入れているとまたもやざわつき聞こえ始めた。

「美少女もD組!?」「おいおいマジかよ!?」「俺ら運いいな!付き合いて~」

そんな男子たちの雄叫びがそこにはあった。

「まさか同じクラスになるとはな~」

久遠が少し驚いた表情で僕に語り掛けてきた。

「いたところで僕らに何か起きるのか?金が降ってくるでもあるまい、高嶺の花には変わりないだろ」

「そんな現実味のないこと言うなよ、ああいう美人さんは見ているだけで癒されるんだよ!わかるか?」

それはわからなくもない。僕にだって癒される推しのキャラクターだっているし、それは現実か二次元かが違うだけであって意味合い的には同じだろう。

「はいはい、わかった、わかった」

思っていたことは口には出さずに素っ気ない言葉を返した。

「なんだよその適当な返しは~」

久遠は僕の言葉に不服そうな顔をしていた。

「ってそんなことしてたらご本人登場したぞ」

彼女がきた瞬間、男子は当然のこと、女子までもが時間が止まったかのようにピタリと止まり一つの方向に目が自然と向いていた。

「こんな近くで見たことなかったから流石に見入っちまったなー」

美しかった。

普段、アニメや本でしか思ったことのないことが自然と頭の中に行き渡った。

他の人にはない何かを持っているような気がした。

綺麗な長い金髪で光に光ったつやつやの肌、それに見合った完璧なスタイル

誰もが羨んで目標にしていてももなんの違和感のないくらいの抜群な人だった。

この一時だけ本当にこの人は僕らと同じ3次元の人なのかと思ってしまった。

3次元なんかに2次元に匹敵する人なんていやしないと思っていたのに、今までずっと思ってきていたのにそれをまんまと一瞬で吹き飛ばされた。

普段はそんなこと思ったりはしないのに...

3次元の異性には耐性が付いていたはずなのにその壁をいとも簡単に壊してしまった。

僕は気づいた。これが学園一の美少女なのだと。

「っておい、いつまで見とれてんだよ」

僕は不意に飛んできた久遠の言葉に自分が彼女に気を取られていたことに気が付いた。

「み、見惚れてねーよ!!ただ、みんなの視線とか気になんないのかなって思っただけだ!!!」

僕は慌てて拾い集めるようにして言葉を並べた。

「これから面白くなりそうだ」

少し笑みを浮かべながら久遠がそんな言葉を発した。

面白いことなんて何も起きやしない。

この後の展開を知りもしない僕は堂々とフラグを回収した。

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