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大学のキャンパス、体育館の中。
青いユニフォームを着た青年が体育館の入口に姿を現した。
青年は片手に麻袋を提げ、もう一方の手に軍手をはめ、腰を屈めてペットボトルを拾い上げ、麻袋に放り込んだ
「毎日バスケの試合があればいいのに。このボトルがあれば、さらに1000円は稼げる。そうすれば月末には、瑛美への誕生日プレゼントにスマホ買えるな」
成宮浩輔は興奮した面持ちで顔を上げ、フロアに散らばるペットボトルに視線を走らせた。
その時、ロッカールームから体格のいい男子学生の一団が現れ、それぞれがユニフォームや汗臭い靴下の詰まった大きな桶を抱え、浩輔の方へ歩いてきた。
「成宮、バスケ部全員のユニフォームだ。一桶200円で洗濯してこい」
先頭に立つ赤髪の男が煙草を咥え、足元に桶を放り投げた。
「同じバスケ部の一年だろ。この俺、広岡大河が気を使ってやってんだ。ほらよ」
大河が合図すると、他の者たちも汗の匂いが染みついたユニフォームや靴下を次々と床に投げ捨てた。
「お前がもっと稼げるように、わざわざチームの連中に一週間分溜めさせといたんだぜ。嗅いでみろよ、いい匂いだろ」
大河は汚れた靴下を一足つまみ上げ、浩輔に向かって投げつけた。
浩輔が避ける間もなく、靴下は彼の顔面に直撃し、鼻をつく酸っぱい悪臭が広がった。
「てめぇ……」
罵声を上げかけた浩輔だったが、ぐっと歯を食いしばって言葉を飲み込んだ。顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
彼にとって、どんな収入も貴重であり、この機会を逃すわけにはいかなかった。
彼は裕福な家の息子ではなく、貧しい家庭に育った大学生なのだ。
コネも専門技術もない彼は、週末にアルバイトをする以外、学内で他の学生の洗濯やレポート代行を引き受けて収入を得るしかなかった。
そうして少しずつ、大学の学費と生活費を工面してきたのである。
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