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清水瑠衣は、手術の麻酔が抜けていく感覚の中で、重たい瞼をなんとか持ち上げた。
視界がぼやける中、少し離れた場所に置かれたテレビでは、野生動物写真コンテストの受賞結果がちょうど流れていた。
何度も死にかけながら、それでも諦めずに追い続けてきた末の吉報――本来なら胸が弾むはずだった。
だが、その喜びは一瞬で凍りついた。
受賞作の署名に映し出されたのは、陸奥陽菜の名前だった。立川蒼空が心の底から愛し続けている、あの女の名だ。
瑠衣の胸に、信じたくないという思いだけが広がっていった。
ふと、必死に撮影を続けたこの2ヶ月の間、送っても返事が一度も来なかったメッセージや、蒼空の絶えないゴシップ記事が脳裏をよぎった。
混乱するより早く、枕元のスマホが甲高く鳴り響いた。
画面には「旦那」の文字が何度も点滅している。
高熱で倒れる直前まで何度もかけ続けたのに、繋がることはなかったあの番号だ。
瑠衣は震える指で通話ボタンを押し、かすれた声を絞り出した。
『どうして……私の作品が、陸奥陽菜の名前になっているの?』
通話口の向こうからは、主と同じく凍りつくような冷たい声が響いた。蒼空の黒い瞳には、いつだって温度というものが存在しない。
『これは、君の代わりに陽菜へ償うための判断だ』
その言葉で、瑠衣の胸に抑えきれない怒りが一気にせり上がった。『何度も説明したわよ。あの時あなたを救ったのは、私だって』
『俺は、自分の目で見たものしか信じない』
蒼空の声は穏やかなのに、底が凍りついていた。
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