虚空の寄る辺
特に近年の大改修によって、外観も内装も見違
める近隣の中学生にとっては、憧れの的であるこの高校、
と違い、ここには未だ屋上と呼ばれるものがある。も
。早朝や昼休み、夕暮れの放課後。この屋上と
胸よりやや高いフェンス。それをま
然な異物は、きっと改修以前の名残りだ。そこに腰掛けてぷらぷら
と、いつも心地いい気持ちになる。その
イ』は佇《
でしまおう。この息を吐ききったら
重さ。生きることでは薄れてしまうそれらが、飛び降りてから地
私自身は息も絶え絶えなのに、実
きられるようになっているのだろう。自分の体がこん
っているのに、私自身はその
ふっと軽くな
鮮度がいい。網膜に刺さる光の先端の感触。肌に全てが触れて、溶けて、ふっと
少し離れたところ、同じコンクリート塊に、同じように座っていた人影に気がついた。同い年ぐらいの男の子。一体いつから座っていたのか。飛び降りようとしていたあの瞬間だろうか。でも、ひょっとしたら私よりもず
見てる
話し
て死のうと
・意外・・・
前も
う。さっきまでそ
が治まったばかりか。
来ることがあったら遠慮せずに言って
助けるのに、意味
感じた。そりゃそうだ。き
時には助けら
もだ
、なかなか困っている人を
彼に寄り添おうとした。彼は
は違
一
き方を変えようとは思わないし、そもそも変えられるものじゃない。だが、この生き方を貫いても救われるのは俺だけで、世の中は全く良くならない。むしろ悪くなる一方だ。俺はどうせ生きるなら少しでも世の中を良くしたいし、そうでなければ生きている意味はない。だが俺には世の中を良くすることも、俺を取り巻く世界も良くすることは出来ない。だったら生きている意味はない。そんな理由で生きるのはただの自
な馬鹿な。正直者が苦労するの
濁《にご》り、汚れ、欲をかき、それでもなんとか生きようとしている。そんな人間ばかりだ。幾ら何でもずっ
。私にはない感覚だから。その・・・もっと楽に
て欲しくないことは、
わけじゃない
飛び降りる時に、一緒に持
・・・
った。おかげで、死に
それがやや控えめに、柔らかく弱くなってこちらを見ている。た
番信じてた人
すい雰囲気ではあったが。だがどちらかというと白状しようという
けど、いざとなったらあっさり逃げた。私の前からあっさりいなくなって、もう彼の目には私は映
始まった時からか。では今まで
あ
初めて気づ
で何も信じて
元の世界に戻れなくなっただけ。もといた世
今
端、涙を抑え
いように、気配りもしてくれた。私たち、本当に付き合ってるのって気持ちにもなったけど、それがあいつなりの、愛の表し方だって納得してた。ヤったのは中学校を卒業した次の日。それから生理がこなくなって、ラインでそれを伝えたらそれっきり。母親は父親に伝えなかった。連れられた産婦人科で、堕した。しばらくしたら下駄箱に封筒が入ってて、アイツの名前と万札が何枚か入ってた。破り捨てたよ。でも破り捨てた後、ひょっとしたらアイツも悩んでたのかなって。私は友達ばかり優先してたし、アイツには友達の愚痴ばかり言ってた。まるで愚痴を放り込むゴミ箱みたいに
ているのも辛
。確かに
り込む。呼吸を整え
さも無気力も疲れも、闇に小石を投げたみたいに吸い込まれるみたい。後には純粋な、ただ真っ黒い気持ちだけ
も感じない。ただ目の前のことを感じるように感じて、感じるように動
葉なんかためになった
教訓めいたことを言ってしま
暗くなる。足元に気をつけろよ
アオイはそれだけのことに心が震えたのだ。きっと彼は運動が出来て、頭も良く、普段から物事をよく考え、様々な経験をしている。そもそも自分とは比べ物にならないほど才能に恵まれ、比べものにならないような宿
あ
あった彼の後ろ
いつ人助けしたかなんて答えられないぐらい、私はそんなこと意識して生活してないから、何言っても半端なことになっちゃうけど、あな
たさっきと同じように頭を搔《か》く。今度は何やら照
《じきひつ
う》が入っている。エンブレム?紋章?水戸黄門のモンドコロに入ってそう
沼に咲く見事な花になれ。そんな意味でつけられた。レンジのレンはハスのレンだ。それと子供のことは心
で見えるのだろうか?と、いつの間にかレンジは屋上から消えていた。それがあまりにも突然起こったことの