爺さん(元国王)旅に出る!
作者kannta.bile
ジャンル冒険
爺さん(元国王)旅に出る!
「よし、受付は完了でさぁ、相手は連戦ですぜ、旦那は運がよろしいようで。」
賭け試合のようで、観客の大半はサミュエルの対戦相手に掛けた様子。
もちろん、大穴を狙ってサミュエルに賭けた者も少数いた。
その賭博の元締め兼受付の者に荷物とフリードを預け、サミュエルは盾と剣を取り出す。
そして胸元にあるペンダントを見つめた。
砕けた白い石が嵌まっているそのペンダントの裏には、祈りの言葉が刻まれている。
「光を見いだす者は幸いである、その人は必ず救われる。」
砕け散った白い石は、何を隠そう、30年前のあの日、魔王妃の剣を受けて砕け散った物である。
そして利き腕である右手に握られた長剣の刀身を見つめる。
長年仕舞い込んでいたと言うのに、鏡のような刀身には錆びや染みどころか、擦り傷すらない。
古めかしい作りで細身のこの剣は、あの日魔王妃から奪い取り証拠として持ち去ったものである。
言い伝えでは、この砕けた白い石は聖人の骨である。