臥待ち月の情人 〜ふしまちづきのこいびと〜
しむように私の
が、ついばむように付いては離れ、また重ねられる。 触れられる箇所がどこも心地よく、夕のリードに全てを委ね始めて
あ…
引き寄せたときに、結っていた髪に指が絡まり、長い黒髪が水面に華のように広がった。 湯船の中で脚
なに…だから、
に凌駕されてしまった。長年押さえ込んでいた欲望がむくりと頭をもたげた。 私は夕を抱き上げ、湯から上がった。
く、望まれて開くのだと告げているように閉じられていた。 私はそっと彼の膝を、左右に割った。 きれいに剃毛されたそこは美しく、自分と同じ性であることを忘れてしまいそうになった。 傷つけないように口づ
舌でからめとると、淫靡な音
…さ…んっ…
すべての神経が集まったかのような感覚に襲われた。 きつい入り口を通り過ぎると、暖かく柔らかな肉壁が絡みついてきた。私の指が彼を慣らしているはずなのに、まるで
んっ…っそ
、彼の中心を咥えていた。 前とうしろを同
…はぁ…んっ
と、夕の口から甘すぎる吐息が漏れた。 ずちゅ、と、淫靡な音をさせながら私は夕のなかに挿入った。 指の先に感じたあの得も言えぬ淫ら
る。頬が紅潮して、息が上がっている。 かす
…ひぁっ……んん
の音もしない座敷に、私が夕を穿つ淫らな湿った音だけが響いていた。 自分の身体のしたで乱れる夕は、数時間前に初めて会った時の儚げな青年から、私を翻弄する淫らな身体を持った大人の男に変
。 障子戸を通して、朝の光が差し込んできていた。 あれだけ乱れて、布団も畳も随分汚したはずが、全て新しいものに変えられたように清潔だ
着替えて、夢のような一晩
面仕上げに面食らいながら、私は自分のものとは思えない靴に足を滑らせた。 格子戸を開けると、すぐ大きな桜の樹
新月だ
をもつ客のための宿に。 この世にはもういない愛しい男。 彼への想いを、ただ誰
で、ふわりと白檀の香りが鼻をかすめた。 振り返ると、桜