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臥待ち月の情人 〜月曇り〜
「おい、ちょっとお前ら、来い」
京一郎さんは機嫌悪く、俺と夕を呼んだ。夕は気にする様子もなく笑顔で振り返ったが、俺は仕方なく申し訳なさそうな顔を作った。
植村さんが俺と夕に礼を言って、何度も何度も京一郎さんをハグして帰って行った。京一郎さんは、少し照れたような顔で、手も振らず植村さんを見送った。 呼ばれたのはその直後のこと。
「お前らグルか……おかしいと思ったんだよ、夕がわざわざ自分で花を買いに来るなんてな」
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