/0/22861/coverorgin.jpg?v=380cd10bf459b79f18348197be1051e2&imageMogr2/format/webp)
あれは小学校5年生の夏の時だった。
暑い日差しの中。
裏の畑で友達とできの悪いスイカたちとスイカ割りをしていた。
海を知っている。
でも、僕たちは行った時はなかった。
大きな入道雲。潮の匂い。地平線まで続く大海原。想像はするけれど、ここは山に囲まれた小さい町。御三増町。
「右。左。もうちょっと左。あ、そこだ」
目隠しをして、棒切れを持った僕は友達の篠原君の言葉を頼りに、数十歩先のスイカを見事に一振りで割った。
スイカはパカリと割れて、中の真っ赤な実と種が辺りに散乱した。
スイカの匂いが強くなって、同時に緑の匂いと日差しの蒸し暑さが漂った。
「篠原君はいいね。篠原君の声を聞いていると、スイカのところへ簡単に行けるよ」
篠原君はタイガースの帽子を目深にかぶって、「当たり前だよ」と言った。
「篠原君。こっちもお願い」
藤堂君も目隠しをして、棒切れを構え。蒸し暑いスイカの匂いで嗅覚が駄目になる場所で、右へ三回クルクルと回る。
「もっと、右」
/0/21999/coverorgin.jpg?v=7660669e6219613c81dae49c5d8e1039&imageMogr2/format/webp)
/0/1701/coverorgin.jpg?v=fc917824bf7fbd0559d83bdf358790e5&imageMogr2/format/webp)
/0/2400/coverorgin.jpg?v=b24eb82449d4fac13d5f9185447f2343&imageMogr2/format/webp)
/0/2727/coverorgin.jpg?v=2fc73e540671b19ae3d16b5aee7a90a9&imageMogr2/format/webp)
/0/19228/coverorgin.jpg?v=b907c30ade13f327c0e50d5832410ddb&imageMogr2/format/webp)
/0/4628/coverorgin.jpg?v=1f767adc0254ed4a6c60b0a2e757d3c8&imageMogr2/format/webp)