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Yokubo no Yamini Furisosogu eien no Shunkan

偽りの結婚生活の終焉:天才AIアーキテクトの華麗なる復讐

偽りの結婚生活の終焉:天才AIアーキテクトの華麗なる復讐

野苺ののか
雨の降る私の誕生日、重い荷物を引いて家に帰った。 リビングのドアの隙間から見えたのは、夫が想い人の西園寺雅のためにダイヤのネックレスを用意している姿だった。 「ママより雅おば様の方がずっと優しくて好き!」 娘の葵が無邪気に笑い、夫は今まで私に向けたことのない甘い微笑みでそれを見つめていた。 私の誕生日は、夫の想い人と同じ日だったのだ。彼らは私を置いて、雅を祝うために高級レストランへと出かけていった。 この7年間、私がどれだけ家族に尽くしても、夫は私を通り越して雅の幻影を見続け、娘すら私を軽蔑するようになっていた。 自分を削ってまで守るべき偽りの家族など、もう何もない。 私は離婚協議書を残して家を出た。 そして、数百億の資産を持つ天才AIアーキテクトとしての本来の姿を取り戻し、夫の会社との顧問契約を容赦なく断ち切った。 これからは、私の人生を取り戻すために生きる。
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町外れに、古びた日本家屋がある。

 よく手入れされた庭園があり、ところどころ朽ちかけた石壁の隙間から、のぞき見ることができた。 人の出入りはほとんど見かけないのにも関わらず、いつでもその庭は整っていて、玄関先の大きな桜の樹のしたに、花びらが散っているのすら見かけることはなかった。 表札もなく、ポストに郵便物がたまることもないため、近所では空き屋ではないかと噂されたこともあるらしい。

しかし、さびれも荒れもしないどころかその屋敷は、ふかく夜が更けると、ぼんやりと灯りが灯るのだった。

 私は、月の見えない晩にある噂を真に受けて、その屋敷のある町外れを訪れた。 小雨が降り始めた。 噂を信じて買い求めた、骨が多い和傘を開いた。明るい海老茶色の布がいくらか恥ずかしい。

細い路地を抜けると、大きな屋敷が見える。 小さな灯りが門を照らしていて、私はほっと胸をなで下ろした。 とりあえず迎えてもらえそうだ。あの灯りが消えているときは、入れてもらえないのだと聞いたことがあった。 門の前までたどりついて、建物の大きさにひと呼吸した。 あたりに車通りはなく、静まりかえった夜更けの日本家屋。誰か住んでいる気配は感じられないのに、何故か無人の不気味さはなかった。 呼び鈴もなにもない。戸惑いながら傘を閉じたとき、からからと格子戸が開く音が聞こえた。

「おしめりは止みましたか」

ゆったりとした京なまりで、濃紺の着物に、腰の低いところで海老茶色の帯を締めた青年。濡れ羽色と表現するのにふさわしい黒髪は長く、ひとつに結って、背中に流れている。 あまりの美しさに私が呆然としていると、青年は、私の傘を見て、艶やかに微笑した。  

「お待ちしておりました」

「あ…あの、私は」

青年は格子戸を片手で押さえ、館の中にいざなうように私に手を伸ばした。手と足が一緒に出そうになりながら私は進み、彼の手をおずおずと掴んだ。 その瞬間、玄関先の桜が風でざわめき、花びらが私のうえに降り注いだ。

 薄暗い回廊は、外から屋敷を見た時には予想もつかないほどの長さだった。 途中、灯りがついた部屋もあったが、私が通されたのは、回廊のずっとずっと奥だった。 障子がするすると開くと、ほんのりと明るい座敷に通された。 新しい畳の良い香りと、卓袱台に並んだ豪華な食事。 青年は私を卓袱台の前に案内すると、青年は三つ指をついて、ふかく頭を下げた。

「今宵はこころゆくまでおくつろぎくださいませ」

私は、青年が顔を上げるのを待って、尋ねてみた。

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