舞台の女神さま!
作者石橋崇行
ジャンル恋愛
舞台の女神さま!
そして月曜日の放課後。
キーンコーンカーンコーン
授業も終わり何時ものようにボクは足早に教室を後にして部室へと向かう。今日の活動は土曜日に行った公演の反省会だけだった。まあ顧問の先生がいるわけじゃないから半分は雑談部になっているんだけどね……
何時ものように形式的なミーティングが始まった。だが今日の亜希先輩はいつも違う。
「みんな聞いて。ついに10月に行われる秋の芸術祭が告知されたわ」
先輩はドヤ顔で高校演劇の地区予選でもある芸術祭の資料をバンッ! と黒板に張り付けた。この芸術祭を通じて上位2校が11月に行われる埼玉県大会へ出場をして、上位2校が関東大会北関東ブロックへと駒を進め、最優秀賞の1校が翌年の夏に行われる全国大会へ行けるという演劇部の甲子園なんだ。
「我がさいたま学院演劇部も先日、高校演劇連盟に復活加盟する事が出来たことで、遂に大会に出場できるってことよ」
かつて関東大会常連の強豪校だったボクの学校はあるいじめ事件が勃発して折角出場が決まった全国大会はく奪と部活の廃部、さらには演劇連盟の脱退を余儀なくされていた。実際は茜先輩の力なんだけどね。
「悔しいけど、今月からあのクソビッチ城ケ崎のお陰で部費も上がったからチャンスよ。そしてわが校の期待の星、松本梓さんがいれば勝てるわ」
先輩に持ち上げられてしまって正直恥ずかしい…… でも春香先生が叶えられなかった夢の大会に出れるのは素直にうれしい。だけど…….
「おい亜希。出場するのはいいが脚本はどうするんだ? 俺去年、テレビで放送された全国大会の演劇見たが結構シナリオがマジで半端なかったぜ」
「た、確かに…… 今までは小説投稿サイトから拾ったネタを元にしていたけど大会となるとまずいわね」
「おいおいお前それって犯罪だぞ! 通りで出来すぎるネタだと思っていたぞ」
見た目は不良っぽくて強面な亜希先輩の幼馴染で大道具担当の山川(やまかわ)大輝(だいき)先輩の冷静な一言でドヤ顔だった亜希先輩の顔色が一気に曇りだした。
「え~っと誰か書きたい人、挙手! 」