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舞台の女神さま!

舞台の女神さま!

石橋崇行

5.0
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主人公の松本梓〈高校1年〉は出来たばかりの演劇部に所属しており主役をこなしていたため常に生徒からの憧れ的な存在だった。 そんなさいたま学院で毎月自主公演を行うたびにファンクラブができるほどのスター的な存在だ。 だがそんな彼女にも大きな悩みがあった。それは過去に壮絶ないじめを受けて男性に触ることもできない恐怖症と同性愛だ。過去のトラウマから誰にも相談できずに一人で悩み苦しんでいた そんな梓の事を独占しようとするさいたま学院の生徒会長、城ケ崎茜〈高校2年〉に目を付けられ、禁断の関係を求められる。 しかし茜の父親は大手銀行の社長で学院に多額の融資をしており、更に梓の父親は銀行の営業部長でもある。弱みを握られている梓は茜には逆らえず、演劇部の活動の為にいつも気持ちを殺して〈偽りの愛〉を受け入れていた。 そんな中、10月に行われる全国高等学校演劇大会の地区予選の案内が発表された。 かつて梓が小学4年の時にいじめ問題を解決するために奮闘した、小学校時代の恩師でもあり、恋心を抱いていた青井春香先生はさいたま学院演劇部のエースで全国制覇を有望視されていたほどだった。 梓が所属するさいたま学院演劇部は1年前に設立された部だが、かつて全国大会に出場するほどの強豪校だった。だがある一人の部員が起こしてしまった傷害事件のせいで全国大会辞退を迫られた過去がある。 更によき理解者の春香先生は梓をイジメていた生徒へ手をあげてしまったせいでPTAや学校から精神的に追い込まれて自殺をしてしまった。 遂に地区大会へ始動しようと動き出す弱小演劇部だったが肝心の脚本を書く人材がいなかった。 そんなある日、同じクラスに春香先生に似ている女子生徒でラノベコンテストの新人賞を受賞した妹の〈青井美咲〉が転校をしてきたため運命的な出会いを果たす事が出来、皆が全国大会出場を目標に動き出そうとした時に茜率いる生徒会による陰謀が動き出したのだった。

チャプター 1 プロローグ 過去の罪 1

「ねえ松本さん。良かったら今度の日曜日に公演を観に来ない? 」

誘い(デート)は彗星の様に突然やってきた。大好きだった春香先生から言われた一言で小学4年のボクの人生が大きく変化した。

担任の春香先生はボクに笑顔で優しく手を差し伸べてきた。

開演当日

ボクは不安な気持ちを抑えて一人で席に座って待っていると暗闇の中、ゆっくりと緞帳が上がり照明が灯るとそこは感動の異世界だった。

初めて誘われた演劇にボクの心は奪われていた。スポットライトに照らされて光り輝く舞台上で幸せに満ち溢れた笑顔で華麗に演技をする先生はまさに「舞台(ステージ)の女神さま」だった。

「ボクがこんなに胸を躍らせながら釘付けになる気持ちは初めてだ……」

抑えきれない興奮はまさに快感だ。自分に自信がないボクが初めて瞳と心を輝かせることが出来たんだ。そして今、目の前で華麗な演技を披露する先生の事が大好きだ!

例えボクが女子でも先生に胸をときめかせながら最高の一時間を味わった。この時舞台上を華麗に舞う春香先生の姿とボクの姿を重ね合わせていた。

 

学校で誰にも相手にされない自分、居場所に悩むボク…… いじめを受けて死にたい事だってあった。この世界からボクがいなくなればいいと何度も思っていた。だけど先生がボクを救ってくれた。

あっという間に公演は終わりボクが先生の元に駆け寄ると、鮮やかな照明に照らされた先生は、光る汗を軽くぬぐいながらボクに優しく微笑みながら右手を差し出してきた。

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