【御曹司即嫁入り+離婚後の後追い修羅場+垢バレ】 【裏社会も表社会も牛耳る財閥御曹司 VS科学界の最強の美女エンジニア】 結婚3年目の今夜も、唐沢晚香は夫と夜を共にしたことがなかった。「仕事に夢中でフリーズしてるだけ」と自分に言い聞かせていた。 母が亡くなったその日に、義理の妹が飛び込み、スマホを突きつける。「姉さんが独り寝してる間、あの人は私のベッドで何度もイッてたよ」 彼女はすべての優しさを心の奥にしまい、もう望みを抱くことをやめ、離婚を決意した。 周りの人々は彼女を嘲笑した。「三日もすりゃ土下座して泣きつくわ」 ——ところが雨の夜、岩田皓輝はズブ濡れの膝をついて「やり直して」と懇願。彼女は傘を差しながら一言。「失礼、あなたはもう捨てたはずでしょう?」 その夜、裏社会をも牛耳る御曹司は、彼女をグイッと抱き寄せ、全世界配信。「“岩田夫人”って呼ぶと、合法妻への名誉毀損で訴えるよ?」 その後、科学アカデミーの最年少正式会員として表彰台に上がった彼女の左手——カメラがクローズアップした指輪には“賀”の文字が刻まれていた。 やっと気づいた世間。“全財産放棄”? 彼女が持ち去ったのは、裏も表も支配する科学帝国と御曹司の心だった。
「私、結婚しています」
暗闇の中、唐澤晚香は背後から伸びてきた力強い腕にドアへ叩きつけられた。 灼熱の息が首筋にかかり、抵抗できないまま全身が震え上がる。
男は彼女の華奢な腰を鷲掴みにし、鼻で笑った。 「人妻が体を売るとはな。 旦那は知っているのか?」
鋭い痛みが胸を貫く。
一時間前に送りつけられてきた動画が、心に開けた傷口だった。
――夫の岩田皓輝と、異母妹の唐澤依奈が、乱れた姿でベッドに絡み合う映像。
夫の裏切りを暴くためホテルに乗り込んだものの。
目的の部屋を確かめる間もなく、見知らぬ男に闇の中へと引きずり込まれてしまったのだ。
「今更清楚ぶるな」 男は吐き捨てると彼女を軽々と担ぎ上げ、ベッドへ放り投げる。 乱暴にネクタイが引きちぎられ、それが彼女の両手を縛り上げると、唇が塞がれた。
「結婚しているなら、慣れたものだろう?」男は彼女の服を一枚、また一枚と引き裂いていく。
「私、まだ……」唐澤晚香は男の下で身を固くし、言葉を飲み込んだ。
結婚して三年、まだ処女のままだという事実を。
口にしたところで誰が信じるだろう。
夫への怒りが、やがて冷え切った諦念へと変わる。 唐澤晚香は、ぴたりと抵抗をやめた。
痛い。 焼けるように、痛い。
彼女は唇を強く噛みしめた。 鋭い犬歯が皮膚を破り、口内に鉄の味がじわりと広がる。
三年間守り抜いたものが、
顔も知らぬ男によって、いとも容易く踏みにじられていく。
……
翌朝、唐澤晚香は携帯のけたたましい振動で目を覚ました。 病院からの着信だった。
「唐澤さん、至急、帝都病院へ。 お母様の容態が急変されました」
「旦那からの催促か?」低く嘲るような男の声が、背後から投げかけられた。
唐澤晚香はシーツを引き寄せ、散らばった服をかき集めると、うつむいたまま囁いた。 「昨夜のことは、どうか忘れてください」
昨夜の愚行は、岩田皓輝の裏切りへの報復なのだと、彼女は自分に言い聞かせた。
男は半裸のままベッドに身を起こし、彼女の背中を冷ややかに見送った。 「見かけによらず、あっさりした女だ」
夫がありながら一夜を共にし、朝になれば未練もなく立ち去る。
唐澤晚香は一刻も早く母のもとへ駆けつけたくて、男と口論する気力もない。 その顔を一瞥もせず、部屋を後にした。
彼女が去った直後、佐々木直樹秘書がノックもそこそこに、忍び足で入室した。
加賀律真は、二日酔いの鈍痛が脈打つこめかみを押さえた。 「俺のベッドに女を送り込んだのは、大奥様か?」
佐々木直樹は、恐縮したように首をすくめて頷いた。
やはり、祖母の差し金か。
帝都一の財閥を率い、A国最大の上場企業のトップである自分が、初夜を人妻に捧げる羽目になるとは。
昨夜、どれほど激しく求めても、あの女は声を押し殺したままだった。 一晩中、呻き声一つ漏らさない。 苦悶とも快楽ともつかない沈黙は、男からすれば手慣れている証拠にしか思えなかった。
今朝の無感動な表情も、おそらくは遊び慣れた女のそれなのだろう。
祖母は一体どこからこんな女を? なぜ自分の元へ?
昨夜、酒に飲まれていなければ……
加賀律真は、乱れたシーツに視線を滑らせた。
そこに残された鮮血の染み。 その一点に射抜かれたように、加賀の目が留まった。
――既婚者ではなかったのか?
部屋を出る間際、女の唇から血が滲んでいたのを、彼は朦朧とする意識の中で見た気がする。
もし処女だったとすれば、昨夜の自分の容赦ない振る舞いは……
唐澤晚香はタクシーを拾い、病院へと急いだ。
ロビーに駆け込むと、待ち構えていたかのように二人の姿があった。 唐澤依奈が岩田皓輝の腕に甘えるように絡みつき、勝ち誇った笑みを浮かべている。
唐澤晚香の目に、怒りの血が上った。 「あなたたち、いつから!?」
唐澤依奈は岩田皓輝の肩に顔を寄せ、挑発するように言った。 「お姉ちゃんが結婚した、その日の夜からよ。 義兄さんは私のベッドに来てたわ」
「結婚して三年にもなるのに、まだ処女なんでしょ? 笑えるわよね……」
依奈は、隠すことなく嘲笑した。
頭から氷水を浴びせられたような衝撃が、唐澤晚香を襲った。
三年間、良妻として夫の帰りを待ち続けた日々。 その始まりである結婚初夜に、夫は自分の妹と肌を重ねていた。
一度も触れてこなかったのは、仕事が多忙だからだと信じていた。 だが、彼にはとうに別の女がいたのだ。 それが、よりにもよって異母妹だったとは。
唐澤晚香の目尻が、じわりと赤く染まる。
なぜ、気づかなかったのだろう。
幼い頃から、唐澤依奈は自分のものを何でも欲しがった。 自分の男であれば、なおのこと。
「唐澤晚香、離婚だ。 慰謝料はない、身一つで出て行け」岩田皓輝の視線は氷のように冷たい。
心臓を抉るような痛み。
三年間、信じ、尽くしてきた日々の結末が、無一文で追い出されることだったとは。
唐澤晚香は冷たく笑った。 「岩田皓輝、私があなたのはした金を目当てに結婚したとでも?」
彼女は金に執着する人間ではない。 母は富裕な家の出で、その資産を受け継ぐ自分にとって、金は問題ではなかった。
岩田皓輝は鼻で笑った。 「いつまでお嬢様気取りだ。 お前の母親が死ねば、路上の乞食同然だろうが」
唐澤晚香は全身を震わせた。 「……何を言っているの?」
「お姉ちゃん、今すぐ病室に行けば、お母さんの最期に間に合うかもよ?」 唐澤依奈は愉しげに笑う。 その紅い唇が、まるで血を吸ったかのように艶めかしく見えた。
悪い予感が胸をざわつかせ、唐澤晚香は我を忘れて病室へと駆けた。
「死亡確認、唐澤清子さん。 死因は手首の切創による失血死。 享年四十八歳」
病室に響く医師の無機質な声が、唐澤晚香の頭を鈍器で殴りつけた。
「母は、ずっと意識が朦朧としていたはずです。 自殺なんて、ありえません……」 信じられないと首を振り、大粒の涙が彼女の頬を伝い落ちた。
「搬送された時点では、意識ははっきりされていました」と医師は告げた。
理解が追いつかない。
十数年も意識混濁の状態だった母が、なぜ突然?
その時、唐澤依奈と岩田皓輝が病室の入口に現れた。
依奈は嘲笑を浮かべ、一枚の紙をひらひらと見せつけると、それを唐澤晚香の顔に叩きつけた。 「よく見なさい、お母さんの遺書よ。 自殺だってことと、あんたが遺産相続権を放棄するって、はっきり書いてあるわ。 さっき父さんから電話よ、あんたは唐澤家から勘当ですって! これで、あんたは正真正銘、無一文ね」
第1章私たち、離婚しましょう
09/01/2028
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