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チャプター 5
忘れさせて (パート1)
文字数:1396    |    更新日時: 24/11/2021

そして運よくエデンに選ばれた相手は、リアムだった。

彼女は気にしなかったが、今まで見たこともないようなタイトでミニの、黒いラテックスのドレスを着たバービー人形そっくりの女が、彼を独り占めしようとしていた。

「彼、私の連れなの」と、エデンは二人の間に割って入った。

バービーは、エデンをじろじろと値踏みしながら、艶やかな唇を不機嫌そうにすぼめて、刺すような冷たい視線で、睨みつけた。

「そうさ、」と、リアムはクスクスと笑った。赤毛の髪色と同じくらい、頬と耳を紅潮させて。 「彼女の連れだよ!」

「つまんない奴」バービーは長いブロンドの髪を肩にかけると、音楽に合わせてうつろな目で踊っている人ごみの中に消えていった。

「ありがとう」リアムは笑顔で礼を言った。 「君は命の恩人だ」

「これで、おあいこね」とエデンが優しく言った。 「中に入れてくれてありがとう」

彼に感謝する気はなかったけど、 寒さから救ってくれたことに間違いない。

「規則破れの割り込みも、たまには役立つ?」 とリアムがにっこり笑うと、彼のことがちょっと気に入った。

バラードが流れ、エデンの視界の隅に、サイモンとオリーブがダンスフロアに入ってくるのが見えた。 エデンはパニックになり、リアムの腕に飛びついた。

「ちょっと彼氏のふりをしてくれる?」 涙を必死に堪え、目を潤ませながら、リアムに微笑みかけた。 「私に夢中なふりをして」

「お望みどおりにするよ、お嬢さん!」 リアムはエデンを抱き寄せ、腰に腕を回した。 二人は音楽に合わせて踊り、体が触れるたび、エデンは鋭敏に反応し、うずくような感覚を覚えたが、無視しようとした。 文字通り、「無視しようと」した。

ダンスを見ればその人のことがよくわかる、と何かで読んだことがあるが、 まさにその通りだ。 リアムのことは傲慢だと思ってたけど、単に自信に満ち溢れているだけのようだ。

「俺は、いい彼氏だろ?」 リアムが頭を下げると、二人の額が軽く触れ合った。 彼は首を傾げ顔を見つめてくると、こんなに暖かな部屋なのに、ゾクゾクしてきた。興奮しちゃだめ、とエデンは心の中で必死に叫んだ。

「本業がうまくいかなくなったら、いつでもレンタル彼氏にジョブチェンジできるね」エデンが答えると、彼の首に腕を回して抱き寄せた。

リアムのウェーブのかかった太い赤毛を見て、お気に入りのテレビ番組「シカゴ・メッド」のウィル・ハルステッドを思い出した。 ウィル・ハルステッドは、自分の利益ばかりを追う男だ。 だから、このまま彼と抱き合っていれば、危険な目に合うのも時間の問題だろう。

「レンタル彼氏なんて、本当にあるの?」 彼は興味深げに眉をつり上げ、表情がぱっと明るくなった。

「わかんない」と彼女は笑って、頭を後ろにそらした。 「こんなサービス、今まで必要なかったから」

今までは...と悲しくなった。 今日までは。

二人は一分、いや三分ほど黙って踊った。 エデンは彼の腕に抱かれ幸せだった。曲が終わり、また次の曲がかかっても、彼女は踊り続け、リアムの方も腕を解かなかった。

「見知らぬ人とのダンスする以外で、今夜ここにいる目的は?」 突然彼に興味が湧いたので、尋ねてみた。

クラッシュは、彼女のような普通の女の子にとっては、素敵なナイトクラブだった。 でも、彼のような大金持ちは、ブラックカードと八桁の預金残高がある人だけが入会できる会員制のプライベートクラブを所有していると彼女は思っていた。

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