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チャプター 6
忘れさせて (パート2)
文字数:1256    |    更新日時: 24/11/2021

リアムは、八桁の銀行残高を持つタイプの男のようだ。 高価なバーボンの香りをかすかに含んだウッド調のコロン、デニムのボタンダウンシャツに合わせた黒のスリムジーンズ、そしてオーダーメイドのスニーカーから、彼女はそう推測した。 こういうタイプの男には会ったことがなかったけど、彼はそうに違いない。

「俺の最後の自由な夜を祝ってよ」と彼は囁いた。

もちろん、とエデンは思った。 道理でカルバン・クラインのモデルに囲まれて入ってきたわけだ。 今日は、彼の独身最後のパーティーだったのに、 さっきは失礼なことをしてしまったと反省した。 もし彼女が独身最後の夜を祝うのであれば、列に並んで時間を無駄にしたくはないだろう。

「あなた、幸せ?」 と彼の胸の中で尋ねた。 「お祝いを言うべきかな?」

リアムは彼女の髪の毛に顔をうずめて笑った。 「そうでもないよ。 でも、これが現実さ。 君はどうなの?」

「忘れるために来たの」と言って顔を上げると、彼の強烈な眼差しに心臓が止まりそうになった。 こんな風に、ここでたった一人の女性のように見つめられれば、失恋や悲しみを忘れられるかもしれない。

「忘れるって、何を?」 と彼は彼女の顔をじっと覗きこんだ。まるで答えが顔に書いているとでも言いたそうに。

「すべてを」エデンは涙を流しながら、微笑んだ。 「忘れさせてくれる?」

自分でも、何を求めているのかわからなかったが、リアムが彼女のあごをそっと持ち上げ、唇を重ね、激しいキスをした。 息もつかせぬ数分間、彼は、彼女の腰に腕を絡ませ、きつく抱き寄せると、舌と唇で彼女を狂気の淵に追いやった。

彼女はもっと近づこうと体をよじらせ、彼のぬくもりを求めた。 その全体に固く張りがある 水泳選手のような体格に、 エデンは強く惹かれた。

将来、彼と一緒にいる自分の姿を思い描くこともできた。

失恋から立ち直るには、彼がちょうどいい相手だろう。

「忘れられた?」 と、リアムはかすれた声で訊くと、海のように深く、渦巻のように引き込まれる力を持つ彼の瞳は、激しい嵐のように熱を帯びていた。

「ほとんどは」エデンは息を切らして答えた。 彼女は、自分が間違いなく人生最大の過ちを犯そうとしているとわかっていたので、リアムに興奮しつつも、その魅力に恐怖心を抱いていた。 でも、これまでの二十四年間、婚約破棄以外、規則を破るようなことを特に何もしてこなかったので、一度だけちょっと無謀なことをしてみたいとも思った。

リアムはエデンの手を握ると、クラッシュの外へ連れ出した。 付き人が、彼の愛車のランボルギーニを出す間、エデンは手短に友人にメールを送った。

リアムは助手席のドアを開け、シートベルトを手伝ってくれた。 怖いような、妙な興奮を覚えるような、これから始まることへの期待感で、エデンは落ち着かなかった。 車窓から、彼女は慣れ親しんだ街並みをぼんやり眺めていた。やがてロック・キャッスルを通過し、彼女のような庶民から隔離された安全な私有地に向かった。それからゲートとセキュリティブースに待機する警備員の前を通り過ぎ、敷地に入った。

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