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「つらい…」
少女の身体の線が細くて美しいことは、部屋の薄暗い明かりの中でも十分に分かった。 カー・グーは、ベッドのシーツの中にだるそうに横たわり、寝ぼけているその少女にすぐに気がついた。
「おい! 俺の部屋に誰がお前を入れた? !」
少女の顔はぼんやりとしていて、はっきりとは見えなかったが、美人かどうか見分けることは簡単だった。 カーはベッドに近づき、謎の少女のあごを持ち上げて顔を確かめようとした。 その瞬間、少女はベッドから飛び跳ねるようにして、彼の首に手を回して、激しく息ができないというように耳元で喘いだ。
「お願い… 私を…たすけて」
少女に抱きつかれたことと、耳元での激しい喘ぎがカーをたまらなくさせた。 もう我慢なんて無理だ!
裕福な家庭で育ったカーは、社会の闇も知ったし、裏社会のことも詳しかった。 貧しそうな少女は薬を飲まされているようだったが、楽しませてもらったとしても害はなさそうだったと彼は思った。
誰かは知らないがこの部屋に彼女を連れてきた奴は、俺に何かを求めているんだろう。 彼女に薬を飲ませたのもただ興を添えるだけだろう。 カーは口元に悪そうな笑みを浮かべながら、そんな考えをめぐらしていた。
そう考えたカーは、少女へと身を乗り出して、ためらうことなくキスした。
ジリリ… リン!
毎朝起こされている目覚まし時計の音に、ニコール・ニンはパチパチと目を開いた。 眠い目をこすりながらアラーム音を消そうとしながら、彼女はいつもと何か違うことに突然気がついた。
え? なぜ私、裸なの? そ、そして...? この隣で寝ている男性は一体誰? ! 思わず口を押えて、ニコールは自分が悲鳴をあげそうになるのをこらえた。
彼女は何があったか昨日の出来事をこめかみのあたりをこすって思い出そうとした。
ええっと… サプライズがあるから、ホテルで待ってるようにってグレゴリーが言ったのは覚えてる。 その後、フィオナが水をコップに入れてくれて… で、 それを飲んだ… その後… そうか、その時頭がくらくらし始めて、1001号室に運び込まれたんだ!
ニコールはあまりのショックに目を丸くした。 彼女の恋人であるグレゴリー・ソンと彼女の親友であるフィオナ・ジャオの関係がこのところずっと何か怪しいのではないかと疑っていたのだった。 それにしても、こんなふうに自分をはめるなんて思っていなかった!
ベッドを出て、グレゴリーとフィオナをどうしても探さなくてはと、ニコールは大急ぎで服を着た。 部屋を立ち去ろうとした瞬間、ふとベッドで寝ている男のことを思い出した。 昨夜薬でおかしくなっていたが、この男性は何度も繰り返してこんなことをしていいかと言葉をかけてくれていたことを彼女が覚えていた。それに、ここは1001号室ではなく、1101号室だと分かった彼女は、 この男性は自分と同じ「被害者」だったと思っていた。
とにかく、この人はとてもハンサム! 彼の引き締まった身体と彫刻のような顔立ちを見ながら、ニコールはそう考えていた。 まぁね… こんなにハンサムな男性としたんだったら、それほど困った状況でもないわねと、ニコールは肩をすくめた。 彼女はバッグの中からお札を出して、ベッドの脇に置いた。 そして、部屋を静かに出て行った。
無駄な時間を省くため、ニコールはタクシーに飛び乗って恋人のグレゴリーの家へと直行した。 到着したら何が待ち受けているか、さまざまな可能性が頭をめぐっていた。 ただ、到着して目にした状況にはニコールは本当にショックを受けた。