愛しているから
誠君は、ノートに挟んであったボールペンを取ると、サラサラと何かを書き始めた。
「おまちどうさま!」
おじさんがお好み焼きを持ってきてくれた。これを鉄板で焼いていく。
「ありがとう」
「あれ?ね、もしかして昔うちによく来てなかった?高校生の頃」
おじさんが私と誠君の顔を確認しながら、話しかけてきた。
「は、はい」
「そうだよね?あとさ、もう1人いなかった?髪が長くていつも一つに束ねてた子!」
「うん、いた…」
「そっかそっか、みんな元気?」
「うん」
「ここも、もうすぐ閉めちゃうけどさ、こうやって昔来てた人が来てくれてね、閉めるのが惜しくなっちゃったよ。ま、仕方ないけどね。ごゆっくり!」
おじさんと話してる間も、誠君は何かをノートに書き続けていた。 私は鉄板に二つのお好み焼きをそっと乗せて焼き始める。
「よし!焼くか!」
おもむろにノートを閉じると、ヘラを持ってお好み焼きのネタを広げる誠君。