愛しているから
ガチャリと音がして、目の前のドアが開いた。 一瞬、息が止まった… 声が出ない。
「あ…」
「!!」
「ヒロ…」
「うん…」
奥から赤ちゃんが泣く声がした。
「マコ?ダレ?アンタ」
色が黒い、豊満な体型の女性が赤ちゃんを抱っこして出てきた。
「いや、ちょっと。仕事行ってくるから」
誠君は慌ててドアを閉めて、女性を止めた。 私とは目を合わせず、通り抜けようとした。
「誠!逃げるなよ」
すかさず溝口君が誠君の腕を掴んだ。
「逃げるつもりはない、でも今から仕事なんだ、休めないんだ…」
「いつなら話ができる?神谷にきちんと説明してやれよ、ずっと待ってたんだぞ!」
「…ごめん、明後日の火曜日なら、俺から行く、ちゃんと説明するよ」
「神谷、どうする?」