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第11章転園
文字数:4084    |    更新日時:09/04/2021

エドワードはムカムカしながら会社に戻った。 スタッフが険しい表情の彼を見た時、これ以上怒らせれば、次は自分が砲弾のえじきにさせられると思って、彼を避けることに全神経を集中させた。

「アーロンにすぐにここに来るように伝えてくれ」 そう言い放つと、 エドワードは凍り付いた表情で乱暴にドアを閉めた。 一体何があったというのか?彼の怒り様に秘書たちは震えあがった。

エドワードは落ち着きを取り戻すため、ネクタイを少し緩めて緊張をほぐした。 一歩間違えば、あの性根の曲がった女性を惨めな方法で葬り去っただろう。 息子のことを私生児呼ばわりするとは!

「社長、何か御用ですか?」 アーロンは走り回って着崩れてしまった服を直しながら言った。 彼は事務局長のアンナから今朝、社長に何か良からぬことが起こったと伝え聞いていた。

「今すぐ近くの一番の幼稚園を探してコンタクトを取ってくれ。転園の必要がある」

「まったく、ジャスティンの幼稚園にいる奴らは低層階級だ!」 エドワードが思い出すだけでもイライラする。 あんな場所に一日でも居させられない。 彼の女はメギツネとけなされ、息子はここ数年、私生児呼ばわりされていたのだ。 俺の女がメギツネで息子が私生児なら、俺は一体なんて呼ばれていたのだろう? 無責任なカス男? 「そんなバカな!」 Sシティの王者である俺が 無責任なカス男に成り下がるなんて! エドワードは非常に腹を立てていた。もっと正確に表現するならば、怒り狂っていた。 無意識のうちにデイジーを俺の女と呼んでいたことにさえ気付かないほどに。

「えっ? 転園?」 アーロンは混乱していた。 「社長はいつの間に幼稚園に通っていたのだろう?」 昨日現れた小さなイケメンのことなどすっかり忘れて考え込んだ。

「何か問題でもあるのか?」 エドワードは不快そうな表情で言った。 余計なことを言えば、八つ裂きにされて喰われそうだ。

「問題ございません。 しかしまた、なぜ幼稚園? 学び直し、ですか?」 アーロンはお手上げ状態になった。 誰が転園する? この様子じゃ、僕が幼稚園からやり直すように言われるんじゃないか? もう何年も前にちゃんと卒園したのに!と心の中で叫んだ。

「アーロン、どうやら幼稚園でお勉強しなきゃいけないのはお前だな」 エドワードは冷たく微笑んだ。 脳みそをどこかに忘れてきたのかと思うくらいに、 今朝のアーロンの思考回路はおかしかった。

「いいえ、もう卒園したので 戻ってお勉強しなくても大丈夫です」 やっぱりな! 絶対言うと思った! いかにもボスが考えそうなことだ。 まあ、はっきり聞いたのは良かった。 お陰様ではっきり断れたしな!

「だったら、そんなに意味不明なことは言わないでいい。 分かったら早急に調べてくれ」 彼は呆気にとられたアーロンを尻目に見て、仕事に取り掛かった。

アーロンは何か言いかけたが、結局何も言わず、ただ言われた通り幼稚園を探すことにした。 エドワードは言われた通りに幼稚園を探していく助手の背中を満足そうに眺め、そして微笑み、仕事に戻った。 厄介な仕事は全部丸投げ。 「またバカにされたな」と、 アーロンは心の中で思っていた。

「ふん! 一番の幼稚園を探せだって?」 アーロンは明らかにイライラした。 どんな厄介な仕事だって、このアーロンにかかればお茶の子さいさい、 僕の仕事っぷりをなめるなよ、と思った。 実際彼は、数回電話をかけてインターネットをささっと検索してこの仕事を終わらせた。 やっぱり僕は全能だな! 社長は ハーバード大学卒のこの優秀な助手を過小評価し、見下したような態度を取っていた。 心の中で社長への不満を垂れながら、アーロンはやっと昨日エドワードが抱いていた小さな可愛い男の子のことを思い出した。 心配しても意味がないと分かりながらも、事情が少し気になった。 余計な心配事を振り切るように彼は社長室に入って行った。

「社長、このあたりのレベルが高い幼稚園をリストアップしました。 この中から気に入りそうな所を選んでください。 ちなみに、次回は明確なご指示を頂けると有難いです。 半分だけ仰っても、もう半分を察するのは難しいので」 この男はいつもそうだった。言葉半分のくせに読心を誤ると大変なことになる。 まったく面白くない。 アーロンは独り言のようにつぶやいた。

エドワードはすぐにチャートから幼稚園を選んだ。「ここがいい!」 そしてリストをアーロンに投げた。

アーロンはその文書を受け取った。 それは彼のお決まりのスタイルだった! エドワードは単純に最も学費の高い学校を選んだ。 さすが想像をはるかに超えるような 巨万の富を築いていた男だ。

「承知しました。速やかに入園の手続きを進めます」 アーロンはそう言いながら内心、なんでそんなに高額な幼稚園に入れる必要があるんだろう、と思ったが、別に彼がお金を払うわけではないので関係無い、と思い直した。 指示通りにきっちり仕事をこなす。 それがここで生き残る術だった。

「ところで、Wガーデンの開発を再計画してくれ」 そう言いながら、社長は彼に大量の書類を投げ、 アーロンの顔も見ずに、自分の机の上の書類を読み続けた。

「恐れ入りますが、これは副社長の管轄です。 なぜ私に?」 彼は仕事の出来る男ではあったが、スーパーマンではなかった! 既にに他の多くの開発を手にして、いっぱいいっぱいだった。

「副社長は今海外にいるから。 君が代わりに行くか?」 エドワードは試すような目でアーロンを見た。

「ええっ! いや、海外には行きたくありません! 分かりました。僕がやります!」 アーロンはパニックしながら逃げ出した。 できるだけ早く、できるだけ遠くに。 副社長は一体どこに居るのかというと、 R国! そこは荒れ果て、さびれた国で、 アーロンはR国だけには行きたくなかった。

その頃、副社長はくしゃみをしていた。

エドワードは言葉を失っていた。 R国ってそんなにひどい? 腰抜けが! アーロンがもしエドワードの心の声を聞いていたら、きっとこう言うだろう。 R国がひどいかって? 直接自分の目で確かめていけばいいだろう。 そんなに冷静沈着ではいられなくなるはずだぜ。

だが実際のところ、彼の上司は相当な変わり者なので、 R国へ行ったとて、いつも通りに落ち着いているだろう。 まあ、 所詮は過程論なのだが。

「アンナ、コーヒーをお願い」 エドワードはインターホンを押した。

しばらくしてノック音がきこえ、 アンナが入ってきた。「社長、コーヒーをお持ちいたしました」 彼女は取りやすく、仕事の妨げにならない最も的確な場所にそのコーヒーを置いた。

「はい、 ご苦労様」 アンナは、エドワードに個人的な感情を抱いていない唯一の秘書で、 彼女のプロ根性はエドワードにも認められる。その一方で艶聞の多い彼も、仕事場には決して恋愛感情は持ち込まなかった。

「他に御用が無ければ、失礼いたします」 実際のところ、アンナも彼を崇拝していたが、 この男の「お相手」になる事は出来ないことをよく分かっていた。 負け戦はしない質だったのだ。

「待って、ここ数年のメープルナイトに関する支出を計算するのを手伝ってほしい」 エドワードはこの気掛かりな件を自分の目で確認することにしたのだ。

「メープルナイトの人件費は会社負担です。 何か問題でも?」 アンナは、なぜ上司が突然長年放置されていた案件を確認する気になったのか疑問に思った。

「問題というか… クレジットカードから 引き落としされているはずだから、その明細の確認をしようかと」 話をはぐらかしたかのような気がして、 エドワードは少しきまりが悪かった。

「承知しました。すぐに確認します」 そう言うとアンナはくるりと背を向けた。 彼女は、干渉してはいけないことには決して立ち入らない。

エドワードはコーヒーを手に取り、一口飲みながら とても退屈だと感じた。 最近、その女性のことが気になって仕方ないようだ。 なぜ彼女の全てを知りたいと思うのだろう?

彼はまるで自分の考えを吹き飛ばそうとするかの様に頭を振った。息子を知るために彼女をしりたいのだ。 ただそれだけのことで、大体あの女性には興味が無かったはずだ、と何度も自分に言い聞かせた。

その時再びドアがノックされた。

「どうぞ入って」 アンナは常に仕事が早かった。

「ボス、これがそのクレジットカードの口座情報です。 使用された形跡はありません」 アンナは誰がこのカードの所有者なのか知らなかったし、また知りたいとも思わなかった。

「えっ? ちょっと見せて」 エドワードはそれを見て眉をひそめた。 あの女性は本当に普通の女とは違う。  自由に使えるはずのカードを使わなかった。 彼女のことを調べれば調べるほど、物事はますます想定外になっていた。 メープルナイトに住んでいると思い込んでいたが、実際は軍隊の寮で暮らし、持たせたクレジットカードには手も付けていない。 エドワードは無力感に襲われた。 彼女に施したはずの「情け」が彼の罪悪感を軽くしていたのに、 思い通りになるような女ではなかったようだ。

突然彼女がオウヤン家の娘であることを思い出した。 オウヤン家は以前ほど羽振りが良くは無かったものの、彼女の人生を保証するぐらいの富はあったであろう。 そう思うとまた少し気分が軽くなった。

もしエドワードは、デイジーが彼と結婚して以来、実家のオウヤン家とは連絡を絶っていると知っていたらそう思えただろうか?

「社長、いかがなさいましたか?」 彼が突然青ざめたのを見て、アンナは少し心配になった。

「別に 何でもないのだ。 仕事に戻っていい」 自分が過去数年間送り続けてきたお金にデイジーは少しも触れていなかった、という衝撃から幾分回復した。 彼の視線はなおもアンナが持ってきた送金記録に固定されていた。好奇心はやがて不快な苦痛へと変わっていった。 しばらく考えた後、彼は電話を取り出し、掛け慣れた連絡先を呼び出した。

「デューク、今夜時間ある? 飲もうぜ!」

「いいね! どこで?」 受話器の向こうから手短な返事が聞こえた。

「セクシーワールド」 そこは町で一番のバーで、 VIPメンバーシップ無しでは入れない会員制のバーだった。

「じゃ、その時に」 そう言うとデュークは電話を切ってしまった。 クソ、どいつもこいつもさっぱりしたもんだな。

エドワードは両手でこめかみを抑え、 もう考え込むのは止めにして、仕事を続けた。

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1 第1章また会う日まで2 第2章父と息子3 第3章社長の愛息4 第4章役立たずの女は嫌いだ5 第5章ジャンクフード6 第6章第6章 ボスは誰?7 第7章小さなムー氏8 第8章ママからパパを盗らないで9 第9章Capítulo独立した小さな男の子10 第10章俺がこの子の父親だ11 第11章転園12 第12章俺のことが好き?13 第13章妄想癖14 第14章ママに会いたい15 第15章ここに君の居場所は無い16 第16章変人17 第17章この悪魔は誰18 第18章一緒に倒れて19 第19章恥のかかせ合い20 第20章Capítuloフルーツレスラブ21 第21章Capítulo女性を隠す22 第22章Capítuloジャスティンは熱を持っています23 第23章Capítuloあなたは奇跡です24 第24章Capítulo私たちが見る25 第25章Capítuloジャスティンは誰ですか26 第26章Capítuloエドワードの荒廃27 第27章Capítuloなぜあなたは私のお母さんが好きではないのですか28 第28章Capítulo彼は今日怒っていた29 第29章Capítuloママが泣いた30 第30章CapítuloIt'sMe、Edward31 第31章Capítulo私はあなたを気にしません32 第32章CapítuloLothario33 第33章Capítuloあなたはお互いを知っています34 第34章Capítulo教えてくれませんか35 第35章Capítulo巻き毛のペルシャ人36 第36章Capítuloあなたはどれほど貧しいですか37 第37章CapítuloはMu氏を怒らせた38 第38章Capítulo難民39 第39章Capítulo彼女は明日来る40 第40章Capítuloあなたは私に魅了されていますか41 第41章Capítulo私は彼女の夫です42 第42章Capítulo私の妻43 第43章Capítulo家に帰ろう44 第44章Capítulo私はそれを取ることができません45 第45章Capítuloキスしたら目を閉じて46 第46章Capítuloエドワード・ムー、あなたは恥知らずです47 第47章Capítuloお父さんは食べられない48 第48章Capítulo離れないでください49 第49章CapítuloSeeMeOut50 第50章Capítulo私はあなたと話している51 第51章Capítulo彼女は誰ですか52 第52章Capítulo電話に出られませんでした53 第53章Capítuloあなたは何をしていますか54 第54章Capítuloは別の車があります55 第55章Capítulo今日あなたに仕えさせてください56 第56章Capítuloあなたは何もすることがありませんか57 第57章Capítuloあなたが台無しにできない誰か58 第58章Capítuloしかし、私は彼女の夫です59 第59章CapítuloGiveMeYour Phone60 第60章Capítuloあなたは何をするつもりですか61 第61章Capítulo戻ってきたら整理します62 第62章Capítulo彼は奇妙な行動をとっています63 第63章Capítuloあなたは空の脅威に満ちています64 第64章Capítulo次回は呼吸することを忘れないでください65 第65章Capítuloミスデイジー66 第66章Capítuloあなたはドアをノックすべきだった67 第67章Capítulo最近はかなり忙しい68 第68章Capítulo今日のあなたの獲物は不運な男69 第69章Capítuloあなたは私がいなくて寂しいですか70 第70章Capítuloくそー嫉妬71 第71章私には彼氏がいると言ったCapítulo72 第72章Capítuloあなたはよくパパのオフィスに行きますか73 第73章CapítuloミスOuyangはここにあります74 第74章Capítuloねえ、あなたは再び呼吸するのを忘れました75 第75章Capítuloあなたは本当にママが好きですか76 第76章Capítuloハニー、何を食べたいですか77 第77章Capítulo私は助けることができます78 第78章Capítulo私はタイムマシンに出くわしたかもしれません79 第79章Capítuloいつ結婚しましたか80 第80章Capítuloそれはあなたが思っていることではありません81 第81章Capítuloそれはパパとルークおじさんです82 第82章Capítuloだからあなたは走ることを計画している83 第83章Capítuloなぜあなたは私を信じないのですか84 第84章Capítuloあなたは私を心配していますか85 第85章Capítulo死ぬまで私たちは離れて86 第86章Capítulo私は誰であると思われますか87 第87章Capítuloハニー、あなたは何をしていますか88 第88章Capítuloあえて彼女に触れて89 第89章Capítuloあなたは薄すぎる90 第90章Capítuloあなたはそのような悪党です91 第91章Capítuloハニー、あなたはついにここにいます92 第92章Capítuloこれは私の将来の義理の妹です93 第93章Capítulo私を義姉と呼ばないでください94 第94章Capítulo老婦人95 第95章CapítuloはMu夫人が再び酔っている96 第96章Capítulo最初にシャワーを浴びてから、寝る97 第97章CapítuloCallMeBaby98 第98章Capítuloこれは許容範囲です99 第99章Capítulo大佐を台無しにしないでください100 第100章Capítulo私は愚かだと思いますか