玉座についたヒーロー
作者上沼 鏡子
ジャンル冒険
玉座についたヒーロー
「シャーリーは本当にそんなに強いの?」 ロッキーは、レナがかなり真剣に語るのを見て尋ねた。
「シメン氏族のバートは、第一世代のスピリットマニピュレーターが誕生して以来、スピリットを操る高い才能の所有者として認められていたの。 彼は彼の年齢以上でスピリットマニピュレーションの強力なパワーを持っていたと言われているの。 今シメン氏族の最強のスピリットマニピュレーターであるブライアントでさえ、同じ年齢では彼の強さにはかなわなかった。 でも、バートはシメン氏族の生まれではなく、 当時の族長の養子だったので、 才能豊かだったけど、養子だからという理由で多くの人にいじめられた。その後、40年前に姿を消したわ。 今どこにいるのか誰も知らないし、すでに死んでいると言う人さえいるわ。 だから、聖ドラゴン帝国で最強のスピリットマニピュレーターは、ブライアント・シメンではなく、彼でなければならないの。 でもシャーリーを過小評価してはいけないわ。 スピリットマニピュレーターのパワーは訓練と実践次第だけど、最も重要なのは生まれながらにして才能があるかということ。 例えば、あなたには才能がないので、スピリットマニピュレーターには決してなれないの」とレナは率直に言った。 そのように言えば彼を傷つけることになるのはわかっていた。しかしロッキーにはことの重大さを理解させ、無謀な行動を繰り返させたくなかったのだ。
「本当に? それはどうかな? チャンスがあれば、才能なんて意味がないってことを見せてあげるよ」とロッキーは傲慢に言った。 レナはそんな彼の態度に驚いた。
「でも、スピリットマニピュレーターとかスピリチュアルメソッドって一体何なの?」 ロッキーは突然尋ね、そしてレナはまた彼の言葉にショックを受けた。
「本当に何も覚えていないのね! そんな風にバカバカしいほど傲慢なことを言っているのも理解できるわ。 でも、あなたみたいな人に出会ったのは初めて」とレナはほっとした笑顔で言った。
「記憶喪失は死ぬよりましだよ」とロッキーは感情を込めてため息をついた。
「まあ、簡単に言えば、スピリットマニピュレーターはスピリチュアル生物を操り、スピリチュアルメソッドを使うパワーを持っているの」とレナは説明した。
「スピリチュアル生物 って何? そんな生物のことは聞いたことがないな。霊長類しか知らないよ..」 ロッキーはつぶやき、混乱した。
「スピリチュアル生物とは、猫、犬、オオカミ、トラ、ヒョウなどのスピリットを持つ生き物のこと。 もちろん、聖ドラゴン帝国のスピリットマニピュレーターが最も誇りとするのは、ドラゴンを操れる能力なの。 シャーリーが乗ってたやつよ」 レナは誇らしげに言った。
「あれがドラゴン?」 ロッキーは驚いて尋ねた。
「そうよ」とレナは答えた。
「恐竜とかなり近い感じがするけど、今まで想像していたものとは少し違うな。 チャンスがあれば、捕まえて調べてみないと」あごを触わりながらそう言うと、ロッキーの目は期待と興奮に満ちていた。
「恐竜に近い? 恐竜って何? ドラゴンには、ウォードラゴンとスピリチュアルドラゴンの2種類しか無いわよ。 ドラゴンに『恐竜』と呼ばれる親戚がいるとは聞いたことがないわ」レナは、ロッキーの言葉に戸惑った。
「ああ、何でもない」とロッキーは素っ気なく言うと、 また尋ねた。「シャーリーが僕に放った強力な光はスピリチュアルメソッドなの?」
「そうよ。ただシャーリーは彼女が持つパワーの10分の1しか使ってなかったけど。 フルパワーを使ったら、1秒で城壁を崩壊させることができるわ。 彼女がフルパワーであなたを攻撃したら、あなたは間違いなく肉と骨だけになるわ。 だから、これから二度と彼女を怒らせちゃダメよ。それに彼女の風貌についても何も言ってはダメ。 わかった?」 レナは厳しく言った。
「わかったから、 心配しないで。 彼女が僕を怒らせない限り、僕が彼女を怒らせることはないから」 ロッキーは、レナからの警告をあまり気にとめていなかったが、 彼女が言った別のことに興味を持っていたので、すぐに尋ねた。「僕もドラゴンが欲しいんだけど、 持てるのかな?」
「ドラゴンの操作は、聖ドラゴン帝国の王族固有の才能と能力なの。 あなたは王子なので、ドラゴンを操ることはできるけど... あなたにはチャンスがないの。あなたは神聖な儀式に5回参加したけど、ドラゴンスピリットビーズとの結合に5回失敗し、ドラゴンスピリチュアルパワーを獲得しなかったので、すべてのチャンスを使い果たしてしまったの」とレナは首を横に振ってため息をついた。
「ドラゴンスピリチュアルパワーって何?」 ロッキーはまだ混乱していた。
「ドラゴンを操る能力を授けるようなもの。 そうでなければ、普通のスピリットマニピュレーターは普通のスピリチュアル生物しか操れないの。 そして、ドラゴンスピリチュアルパワーを獲得するには、、聖ドラゴン帝国の神聖な儀式でドラゴン宗家の大使が持ってくるドラゴンスピリチュアルパワーを持つドラゴンスピリットビーズと結合しなければならないの。 結合が成功すると、腕にドラゴンスピリットマークが表示され、ドラゴンスピリチュアルパワーを獲得したことになるの。 ドラゴンを操れるようになる方法はそれしか無いわ」とレナは根気よく説明した。
「ドラゴン宗家と聖ドラゴン帝国との関係は? なぜ彼らが聖ドラゴン帝国にそんな強力なビーズを授けるの?」 ロッキーは新しい情報を全て吸収すべく未だ格闘中だった。
「何ですって? そんな基本的なことも忘れたの?」 レナはショックを受けて尋ねた。 彼女はバジルの記憶喪失と態度の変化に違和感を感じていた。
「うん、僕はかなりの記憶を失ったみたいだ」 ロッキーはレナに疑われるのではないかと恐れていた。
レナはこの世界の背景説明をまだ続けなければならなかった。
そういうわけで、ロッキーは以下のことを学んだ。この世界がワイルドスピリットランドと呼ばれ、スピリチュアル人種が人類と共生していた。 スピリチュアル人種は、古代の神話上の生物と人間の混血で、 強力なパワーを持ち、世界中のあらゆる種類の生物を操ることができた。 そして、スピリチュアル人種の上級氏族だったドラゴン宗家は、 普通のスピリチュアル生物を操れるだけでなく、強力なドラゴンをも操ることができた。
しかし、スピリチュアル人種は増殖力が低かったため、その人口は数千年の間に大幅に減少した。 いくつかの氏族は死に絶え、そして、生き残った氏族もぎりぎりだった。
しかし数百年前、原始時代の人間の存在に気づいたスピリチュアル人種の一部の氏族が、彼らのパワーを人間に引き継ぐために人間との結びつきを始めた。 聖ドラゴン帝国はスピリチュアル人種から最初にパワーを得た人々が建国した国だった。
それ以降、スピリチュアル人種のパワーを得た彼らは急速に増殖・進化し、 何百年間で、より強く、より高い知能を獲得してきた。 そしてついに、この美しい世界へと発展したのだった。
聖ドラゴン帝国の他にも、ワイルドスピリットランドの他の氏族からパワーを得た人間の王国があった。 聖ドラゴン帝国はこれらの国の中で最も繁栄しており、他の国々の領土の一部を占領し、権力を強化していた。 したがって、スピリチュアル人種の氏族間の戦いは、人間の国々の間の戦いに代わっていった。 スピリチュアル人種は、終わりのない戦争を人間にもたらしたのだ。
何千年もの間発展するにつれて、スピリチュアル人種のパワーを獲得した人間も進化し、パワーも強化された。 ついには、スピリチュアル人種のパワーは、モータルステージ、アースリーステージ、ヘブンリーステージ、スーパーナルステージ、ディバインステージ、イモータルステージの6つのステージに分割され、 各ステージには9つのグレードがあり、9番目が最高となった。