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第13章美しい教官
文字数:2923    |    更新日時:10/04/2021

突然、大きな叫び声が彼らの会話を中断させた。

「ウィンドエビル。3ツ星のスピリチュアルビーストです!」

「えっ! 3ツ星のビースト? 恐らくこの中でいちばんのやつだね! 畜生! どうしてそいつを見逃したんだろう!」

「さすがシメン氏族の一員だ! 良いスピリチュアルビーストを選ぶのが得意なのも不思議じゃないね」

ロッキーが騒々しいエリアに目を向けると、若者たちが強くて元気そうなひとりの若者を羨ましそうに見ていた。その若者の前にはライオンの頭とワシの体を持つスピリチュアルビーストがいた。

「シメン氏族? シャーリーの氏族じゃないか?」 そう思うと、ロッキーは大騒ぎの対象となっているロイヤルスピリチュアマニピュレーターをよく見ると、 すでに大人の体格を持ち、そしてパワフルで、 記憶が正しければ、ドラゴンスピリットビーズと結合した後、モータルステージの3等級を獲得したのは彼だった。 レナの言う通り、 シメン氏族は誰も軽視してはいけない存在だった。

「ただの3ツ星のスピリチュアルビーストだろ。 たぶん僕なら4ツ星のスピリチュアルビーストを選ぶことができるだろうね」とロッキーは野心的だった。

彼は、ロイヤルスピリチュアルマニピュレーターたちが自身のウォービーストを選び、血の絆を確立するのを見て、早く順番が回ってこないかと少し思った。

そうこうしているうちに、飼育係が近づいてきて、どの番号を選ぶのか聞いてきた。

「僕は.. ...」 ロッキーは見てきたウォービーストを思い出したが、なかなか決めきれず、 躊躇していた。

「早くしろよ! みんな待ってるんだから!」 と後ろに並んでいる若者たちに急かされた。

「僕は…」と、ロッキーはもう悩むのをやめ、ランダムに番号を選ぼうとした。 どのビーストでも自分の役に立っただろう。 しかし突然、あの小さなビーストの目が頭に現れ、それを振り払うことができなかった。 とても表現力豊かで、人間のような目を思うと、 その番号をつい口を滑らした。 「109番」

「109?」 飼育係は、聞いたばかりの番号を整理するかのように、一瞬立ち止まった。

「はい」 とうなずいたロッキーは 明らかに、小さなビーストのかわいく大きな目に参ってしまったのだった。

「バジル、時間を無駄にしてはならぬ。 飼育係は108匹のウォービーストしかいないと言ったではないか。 109番なんていないぞ」 司祭長は彼を厳しく叱った。

「司祭長、実は109番はおります。 生まれたばかりで、障害があり、 おまけに正体不明の卵から孵化したもので、 どこから来たのかもわからないので、リストに載せなかったのです」と飼育係は説明した。

「そういうことなら、彼がそれを選んだ以上、彼のものだ」 司祭長は軽蔑した表情をロッキーに向けた。

「司祭長、本当に大丈夫ですか? 彼に別のものを選ぶチャンスを与えてもいいと思いますが」と飼育係は言った。

「私の言葉を聞いていなかったのか?」 司祭長の表情は冷たくなった。

「では109番で」と飼育係は困惑しながら頭を振り発表した。

すぐに助手は例の小さなビーストを運び出し、ロッキーに手渡した。

ロッキーは他の恐ろしいウォービーストたちを見ながら、その小さなビーストを胸に隠し、 ため息をつきながら言った。 「僕は前世でお前に大きな借りがあったに違いない。だから今お前とこうやって一緒にいるんだな」

この小さなビーストはロッキーだとわかったようで、陽気にうなっていた。

「1ツ星にも達していないウォービーストとは、 正に『貴重な』ビーストに違いない」その小さなビーストを見た司祭長は皮肉を込めて言った。

スピリチュアルマニピュレーターになったばかりの若者たちも、その話を聞いて、この弱く小さなビーストを見て笑った。

「なんて負け犬だ。障害を持つ弱いウォービーストを選ぶとは! 踏みつけて、簡単に殺せるぞ!」

「そのとおりだ。 ロイヤルスピリチュアルマニピュレーターが障害を持つウォービーストを選ぶとは、 何と哀れで恥ずかしいことか!」

「歩くことすらできないのか。 それでウォービーストと呼べるのか? 本当にばかげてる!」

「おチビちゃん、 あんなの気にしなくていいんだよ。 やつらは何も知らないんだ。いつの日か、やつらはお前の本当の力を知ることになるんだ。なぜなら、僕がお前を訓練して最高のウォービーストに育てるんだから」 ロッキーは挑発を無視し、小さなウォービーストを誇らしげに持ち上げた。

「ああ、そうだった。 血の絆!」 ロッキーは思い出すと、 そっとビーストを降ろした。そして自分の指を噛むと、 血がにじみ出たので、ビーストの口の前に指を差し出した。

ビーストは嬉しそうにうなり、ロッキーの指を噛むと、最後の一滴まで吸い出すかのように激しく吸った。

「コラコラ! 僕を干からびさせるつもりか」 ロッキーは指を引っ込め、指に残ったねばねばした唾液に顔をしかめた。 しかし不思議なことに、彼の傷は自然に治っていた。 それを気にせず、彼は他のスピリチュアルマニピュレーターのウォービースト選びを見続けた。

間もなく全員がウォービーストを選び終え、最高のビーストは、シメン氏族のスピリチュアルマニピュレーターが選んだ1匹しかいない3ツ星のウォービースト、ウインドエビルだった。 2ツ星のウォービーストが10匹、残りは1ツ星だった。

もう1匹は、1ツ星にも達していないロッキーの小さなビーストだった。

そして、スピリチュアルマニピュレーターたちは厩舎を出ると馬車に飛び乗って去っていった。

馬車はかなり進んだところで止まった。

すると、「馬車を降りて集まれ!」 という厳しい女性の声の命令を聞いた。

誰もが自分のウォービーストを持ち、すぐに馬車から飛び降り、 数秒以内に全員が馬車の外にいた。

ただし、ロッキーはその中には含まれておらず、 「くそー、そんなに急いで、何が起こったんだ?」 と彼は悪態をつきながらゆっくりと馬車から降りた。

そこには広場があり、その突き当たりにいくつかの建物があり、 間違いなく王室の所有物であろう壮大な王宮が 左側にあった。

ロッキーがゆっくりと馬車から降りて周りの景色に少し気を取られていると、突然何かが彼の顔にぶつかった。 殴られたのだ。

「くそっ! 誰だ?」 ロッキーは怒りながら叫ぶと、 足元に鞭があるのを見て、これに殴られたのだと悟った。 そして鞭を持っている人間を見上げると、目が点になった。

鞭をしまいながら、細く引き締まった脚を持つスレンダーな体が、こちらに向かって歩いてきた。

「わあー!」 ロッキーはこの女を見て驚いた。 彼女は身動きしやすいように、長いスリットのあるノースリーブのローブを着ていて、その 腕と脚は美しく日焼けし、 長い髪は腰まで伸びていた。 彼女はワイルドで危険な雰囲気を漂わせていたが、それがロッキーにはたまらなかった。

その美しいスタイルと美しい顔だちの組み合わせは、神の創造物に違いないとしかロッキーには考えられなかった。 魅惑的でチャーミングな目、そして高く形の整った鼻。 そしてロッキーが最も魅力を感じたのは、彼女のふくよかで美しい唇だった。 ロッキーはうっとりとした目でその女性を見つめていた。

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