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第15章バーニングパワー
文字数:4707    |    更新日時:10/04/2021

「これから、あなたたちのドラゴンスピリチュアルパワーの等級と性質を確認するわね。それからドラゴン宗家の基本的なスピリチュアルメソッドであるミステリアスドラゴンスキルを教えるため将校を何人か割り当てるから。

ミステリアスドラゴンスキルは最も基本的なスピリチュアルメソッドだけど、ロイヤルスピリットマニピュレーターである以上その効力を身に着けないといけないの。 この基本的なスピリチュアルメソッドをマスターできないようじゃ、高いレベルのスピリチュアルメソッドを身に着けるなんて到底無理だからね。 そしてロイヤルスピリットマニピュレーターにとって特に重要なので、忘れないで。 それと、ミステリアスドラゴンスキルには9つの等級があることは知ってるわよね。 3等級になると、ドラゴンスピリチュアルパワーの性質に応じて、スピリチュアル武術を身に着けられるんだけど、 スピリチュアル武術は戦いで攻撃または防御するために使用できるスキルなので、スピリチュアルパワーがより強力になれば、武術のスキルも向上する」

「つまり、 十分なパワーがあれば、一瞬で敵を殺すことさえできる。だが、 あなたたち自身のスピリチュアルパワーがベースになるからね。 今のあなたたちでは、小石を壊すこともできないわ。 さあ、始めるわよ!」 ミアは説明を終えると手を叩いた。

すると、彼女の隣に6人の人物が瞬時に現れた。

彼らはほぼ30歳くらいの男女だった。 彼らのレベルはアースリーステージとヘブンリーステージの間だったので、そのパワーは強力だった。

「ご命令を」6人は声を合わせて言った。

彼らはミアの下で働く将校だった。

ミアは彼らに合図を送ると、 手のひらサイズの黒い石を持った女性将校が彼女のところにやって来た。

「これはスピリチュアルパワー検出石。 これであなたたちのドラゴンスピリチュアルパワーのステージと性質をテストすることができるの。 これに手を置いて、腕のドラゴンスピリットマークでパワーを放ってもらうわ。 じゃあ、名前を呼ばれたらここに来なさい」とミアは早朝に伝書鳩から受け取ったリストを取り出し言った。

「トム・マ!」

「はい」とその若者は手を挙げて彼女に近づくと、 スピリチュアルパワー検出石に左手を置き、目を閉じて集中した。 するとドラゴンスピリットマークが左腕に現れた。

石はドラゴンスピリチュアルパワーを検出し、素早く赤い光を放った。

「モータルステージの2等級、ファイア」 ミアは経験豊富な目ですぐに検査しその結果を公表した。

ドラゴンスピリチュアルパワーには、ファイアー、ウォーター、ウィンド、サンダー、アイスの5種類の性質があり、 それぞれに独自の特徴と利点があり、5つの性質が互いに抑制し合っていた。 そして各性質のパワーはスピリットマニピュレーターのパワーに依存していたので、弱いものもあれば強いものもあり、 スピリットマニピュレーターが高度なスピリチュアル武術を習得すれば、性質の力を高めることもできた。

「次。 フランク・チェン!」

別の若者が彼女に近づき、スピリチュアルパワー検出石にドラゴンスピリチュアルパワーを放った。

「モータルステージの1等級、ウィンド」

「フリント・ジ!」

「モータルステージ3等級、アイス!」 ミアは等級を言った後、彼をちらっと見た。 彼は顔立ちが整っていて、同年代の他の若者よりも落ち着いているようだった。

「君はジ氏族の一員?」 ミアは無造作に尋ねた。

フリントは一瞬ためらった後、軽くうなずいてから列に戻った。

「彼の名前はフリント・ジか…」 ロッキーが部屋に入ったときにぶつかった傲慢なやつだった。

「ミアは彼に興味を持っているようだな。 このタイプの男が好きなのか? でもなぜ彼なんだ? 僕ほどルックスが良くないのに」とロッキーはあごを触わりながら考えた。

検査は続いた。

ロッキーは退屈だったので、検査をぼんやりと見ていると、ほとんど眠ってしまった。

すると、「バジル・ロン」とミアは彼を冷たい声で呼んだ。

だが、ロッキーは彼女に呼ばれていることに気づかなかったので、じっと立っていた。

周りにいるみんなはそれを見て笑い始めた。 彼らは、これから不幸なことが起きることを知っていた。

「バジル・ロン!」 ロッキーの返事がなかったので、ミアは再度彼を呼ぶと同時に、 鞭を激しく振ると、ロッキーに向かって鋭い風が吹いた。

ロッキーは胸に弾丸が当たったかと思うほどの 激痛を感じると、すぐに現実に戻され、 ミアが「バジル・ロン」と繰り返すのを聞きながら、胸をさすった。

「バジル・ロン? ああ、僕です」とロッキーはそう答え、気づいた。 まだ自分の新しい名前に慣れていなかったのだ! そしてゆっくりとミアのところへ歩いていった。

「急いで」とミアは彼のとろい動きに苛立ち叫んだ。

「そんなにあせらせるなよ。 怖いじゃないか! そんなに美人なのになんで虎みたいに振る舞うんだろう?」 ロッキーはミアを見て考えながら、 スピリチュアルパワー検出石に手を置き、左腕のドラゴンスピリチュアルパワーを放とうした。

しかし、ドラゴンスピリットマークは現れなかった。

他の29人の若者は皆彼をバカにした目で見ていた。

「やっぱり 『負け犬の王子』だな!」 誰かが大声で叫んだ。

すると全員が笑った。

「もっと頑張れよ! 左腕のドラゴンスピリチュアルパワーに集中しないとダメだよ」 ミアも当惑していた。 ロイヤルスピリットマニピュレーターは、通常のスピリットマニピュレーターとは異なり、 ドラゴンスピリットビーズと結合してドラゴンスピリチュアルパワーを獲得した以上、スピリチュアルメソッドを学ばなくても簡単にパワーを放つことができるはずで、 パワーを放つことは、食べたり飲んだりするのと同じくらい無意識にできることだった。

だから、ロッキーがドラゴンスピリチュアパワーを放てないということはあまりにも異常なことだった。

だが、よく考えると、 他の若者たちは今まで専門的な訓練を受けてきているのに対し、バジルにはそんな経験は全くなかったせいで、 獲得したパワーに適応できていないのも無理はない。

一方、ロッキーは深く息を吸いながらミアをちらっと見ると、 唾をのみ込み、心を決めた。 ミアの指示に従って左腕のドラゴンスピリチュアルパワーに集中した。

すると間もなく、左腕にドラゴンスピリットマークがかすかに現れたので、 一安心だった。

そしてスピリチュアルパワー検出石がロッキーのドラゴンスピリチュアルパワーを感知したときに、とても薄暗かったが光を発したことに、ロッキーは驚いた。 おまけにその光は灰色で、5つの性質のいずれでもなかった。

ミアもこの光景には驚いた。なぜなら性質を持たないドラゴンスピリチュアルパワーを見たのは初めてだったからだ。 通常のスピリットマニピュレーターのパワーの大半には性質がなかったので、通常のスピリットマニピュレーターでは珍しくはなかったが、 ロイヤルスピリットマニピュレーターのドラゴンスピリチュアルパワーに性質がないのはかなり奇妙だった。 おまけにロッキーが結合したビーズは聖ドラゴンビーズだったので、なおさらだった。

他の若者がロッキーのパワーに性質がないのを見ると、列から大きな笑い声が聞こえた。

「ヤツは本当に負け犬だな。 ハハ、彼はドラゴンスピリチュアルパワーを得たって、だから何なんだ? 性質すらないじゃないか!」

「どうなってるの? そんな負け犬がどうやって聖ドラゴンビーズと融合できたのかね?」

「まあ、この世の中には面白いことが起こるもんだ。 ははは!」

こんな風にあざ笑われたロッキーは激怒し、拳を握り締めた。

「もう諦めろよ。 恥ずかしくないのか?」

「お前はただの負け犬なんだよ。 諦めろ! お前には無理なんだよ」

「俺がその立場だったら、もう死にたいね! そうすれば、王室に恥をかかせることもないからね」

顔をしかめるほど、ロッキーの怒りの火は体中で激しく燃えると、突然左腕に激しい熱を感じた。 無意識のうちに彼はスピリチュアルパワー検出石を強くつかんだ。

左腕のドラゴンスピリットマークに変化はなかったが、燃えるような感覚はますます激しくなった。

「ああ!」 その激しい痛みに耐えられなくなり、ロッキーはうなり声を上げた。

ロッキーのうなり声を聞くと、誰もが彼を見て戸惑った。

突然、稲妻と雷を伴った暗い雲が空に集まり、荒れ狂う風がほこりを空中に吹き飛ばした。

何が起こっているのか誰にもわからなかった。

ゴロゴロ!

大きな雷が鳴り響くと、暗い雲の中にドラゴンの影が現れ、 その影が突然燃えはじめると、すぐに巨大な稲妻のように厚い雲から地面に向かってきた。

耳をつんざくような衝撃で、彼らの近くに大きな穴を掘り、あちらこちらから煙が出ていた。

ミアを含め、誰もが稲妻に驚いた。

「なんて奇妙な天気なの?」ミアは、たった今うなり声をあげたロッキーを見ながらつぶやいた。

ロッキーはうなり声をあげた後に、燃えるような熱が消えたので、すでに悠々としていた。

「負け犬ちゃん、轟音を出したからって、強くなるわけじゃないからね」と誰かがロッキーをあざ笑った。

ロッキーが振り返ると、筋骨たくましい男が冷やかに笑いながらこちらを見ていた。 その男がシメン氏族の一員だったことを思い出したので、彼のところへ行き「もう一度言ってみろ」と言った。

その男はロッキーよりも頭一つ分背が高く、ロッキーよりもはるかに強そうに見えたが、ロッキーは弱いそぶりも見せず彼の目を見た。

「僕は、君が…」 ロッキーがかなり傲慢な態度だったので、その男はすぐに反論しようとしたが、ミアが「そこの二人は罰を受けたいの?」と彼の言葉を遮ると、 すぐに口を閉じた。

ロッキーは激怒しながら彼を睨んでいたが、ミアがこちらを冷たい表情で見たので、睨むのを止め、ミアに微笑み、列に戻った。

シメン氏族の男は、ロッキーをじっと見つめ、指で喉を切るジェスチャーをした。

それに対しロッキーは冷たく笑い、中指を突き立てた。

それを見て、その男の顔は怒りに満ちていた。

「以上。 それぞれパワーの等級と性質を覚えておいてね」とミアは若者たちをちらっと見ながら言った。

「わかりました」彼らは声を合わせた。

「じゃあ、 1か月以内に進展がない場合、私の権限で予告なしにここから出て行ってもらうからね。 言い訳は通用しないわよ。 わかった?」 ミアは真剣な表情で言った。

「わかりました」彼らは皆不安げに反応した。 彼女が冗談を言うようなタイプではないことを知っていたからだ。

「これから、各チームごとに将校がミステリアスドラゴンスキルの9つの等級の簡潔な公式を教えるけど、 公式を覚えるのに2時間しかないからね。 2時間後にここに戻ってきなさい。 バジル、あなたはここに残りなさい」とミアは命じた。

将校たちはすぐに各チームをフィールドのさまざまな場所に連れて行き、ミステリアスドラゴンスキルの公式を教え始めた。

ミアはロッキーを見て、フィールドの片側を指差して、「そこに行って待ってて」と言った。

「わかりました」ロッキーはミアが彼にいたずらをしようとしているのかと思いながら答えると、 フィールドの脇に向かった。

ロッキーは、彼女が指した場所に着くと、突然何かを思い出し、 左手を見てつぶやいた。「あの不思議な感覚は何だったんだろう? おならが出そうな感じがしたけど出なかった。 でも、うなり声をあげた後は、特別なことは何も感じなかったけど、とても安心したな...」

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