甘やかされた女
エミリーはまるでプールから上がってきたのかと思うほどの汗をかいていた。水分を含んだドレスは身体にピッタリ張り付き、エミリーの女性らしい曲線を露にしていた。 そして、浮かないその表情とはうらはらに頬は火照りからかピンクがかり 、より一層彼女を魅力的な女性に引き立てていた。 このような魅力的なエミリーをみること、ヤコブは初めてではない。 「あの夜」に彼は見ていた。
ヤコブはそのエミリーの魅力に耐え切れず、突然彼女を抱き寄せキスをした。ただのキスではない。舌でエミリーを口をこじ開ける情熱的なキスを。
そのキスはとても長かった。そのため、ヤコブの唇が離れてもエミリーの五感には何も触れなかった。 何分間経てから、彼女はまだ何が起きたかを自覚していないまま、ヤコブから1歩2歩後ろに下がった。
「なぜ…? どうして私にキス…したの?」
「最初の1回は、お望みどおりだ」ヤコブはそう言うと、今しがたの情熱的なキスを振り返るように、口の周りについたエミリーの唾液とともにいやらしく唇を舐めた。「2回目は私への補償だ」
欲しいもの何でも手に入れる男ヤコブ。 エミリーにもそれ相応の対応を求めるつもりだろう。
「あなたって…」 エミリーは興奮なのか怒りなのか顔を赤らめたが、彼に答える言葉を見つけることができなかった。
ヤコブにとって、自分は男性の好きな時にキスをさせ、男性の好きな時に脚を開くような女性だっただろうか?
そう考えるだけでエミリーは 胸が苦しくなった。