甘やかされた女
「勝手に言ってればいいわ」エミリーは心の中で罵った。「ヤコブは自分のことでいっぱいに違いない」
「さっき、ローズは私を罠にはめようとしたけど、運よく計画は失敗した。 でもローズはそんな簡単にはあきらめない。 この部屋を誰かに見張らせているに違いない。 今出ていったら、誰が見ても私たちの間で何かあったんだって分かる…」
「私と君の間で何かあったかな?」 ヤコブは揚げ足を取り、口角をゆっくりと持ち上げ、「秘密の情事のことって?」と言った。
ヤコブは自分が、「秘密の情事」なんてものを抱えるとは思ってもいなかった。 「おもしろい」と彼は思った。
「そういうつもりじゃない」とエミリーは顔を赤くしながらも、「とにかく、そんな風にあなたが今部屋から出ていくのは無理だ!」と言い張った。
自分の部屋にヤコブがずっといたということを知ったら、ローズとジャックがなにをするつもりなのか、エミリーは考えたくもなかった。 何とかしてエミリーは、今日この部屋で起こったことを秘密にしておきたいのだ!
ヤコブはエミリーの顔を少しの時間ながめ、彼女の困ったような表情の顔を面白がっていた。 すると突然エミリーの髪に手を伸ばし、まるで子猫を愛でるように、彼女の髪を愛撫した。
「わかった、でも、私の意見も聞いてほしいな。 ジャックと別れて、彼から離れてほしい」