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第3章仕事に戻る
文字数:3209    |    更新日時:22/02/2021

黒のスーツが彼の力強い体を強調させた。 彼の強烈な色白で彫りの深い顔が、彼女の目を釘付けにした。

「俺を見つめるのをやめてくれないか? 座って朝食を食べたらどうだ」 チャールズは彼女を見もせずに言った。

オータムは心の中を見透かされているようで恥ずかしかった。 彼女はそっと彼の左側に座った。

豪華な朝食だったが、彼女はお粥一杯で満腹になった。 器とスプーンを置いた時、チャールズに見られていることに気づいた。 「どうしてもっと寝てないんだ? そんなに早く起きる必要はないだろう」と彼が話しかけた。

「いいえ、十分寝たわ」 オータムは首を振った。 彼女はチャールズの態度が昨日と違うことに気づいた。 彼はまだよそよそしかったが、礼儀正しかったので、 彼女も礼儀正しく彼と話すことにした。 「それに、私、3日間の休暇しかもらわなかったから、 もう仕事に戻らないと」

「仕事?」 チャールズは混乱した。 彼はこの無知な女性が仕事をしているなど思っても見なかった。それに、彼女を調べに行かせた部下からは何も聞いていなかった。

「ええ、仕事よ!」 オータムは時計を見て言った、 「遅刻するわ、すぐ行かないと」

「待って」 チャールズは立ち上がってスーツのボタンを留めた。 「俺も仕事に行く。 俺たちは一緒の方向に行くのだから 仕事場まで乗せて行ってやるよ」

同じ方向? 彼は彼女がどこで働いているのを知らないはずだが、 どうやって送っていくのかしら?

彼女は不安を感じていたが、彼は送っていくと諦めなかった。 車に乗った後、彼女は住所を渡した。 そして、少し休むため座席に寄りかかった。

チャールズは何も言わなかったが、彼の中ではたくさんのことが渦巻いていた。

オータムが渡した住所はY市にある広告関係の有名企業だった。 中小企業だが、有望な会社だ。

彼の知る限りでは、この会社はグー家と何の関わりもないはずだし、 なぜ無学無知のイボンヌがここで働いているのか謎だった。

偶然にも彼の会社はこの会社と協同していたのだ。 彼は彼女が何をしたいのか知りたかった。

オータムは会社に着く直前に「目を覚ました」 そして、通りの角で止めるよう言った。

リムジンから降りるところを同僚にでも見られたら、何が起こるか予想できるからだ。

チャールズは何も聞かず、言われた通りに車を止めた。 彼女は気分良さげに車を降りてオフィスビルに駆け込む前に彼に手を振った。

チャールズにとって、誰かが楽しそうに仕事に行くのを見るのは初めてのことだった。

3日間の休暇のせいで少しだらけ気味だった。 彼女はクラウド広告会社のドアの前で自分に喝を入れた。

彼女は今、ルー夫人となったが、 仕事は一生懸命するつもりだった。 彼女の人生がどう変わろうとも、仕事だけは諦めないと心に決めていたからだ。 この仕事だけが彼女の唯一の収入源だから。 それに、祖母の医療費を払わなくてはならない。

「イェ、やっと帰ってきたのね!」 マネージャーのライアン・チョウは、彼女が入ってくるなり声をかけた。 3年前、オータムはただのアシスタントだったが、今ではこの会社の最も優秀な広告プランナーだ。

彼女はあまり学歴が高くなく、素直でもなかった。 しかし、彼女は間違いなくライアンの有能なアシスタントだった。

オータムは目の前のこの男を見て驚いた。 彼は何日も剃られてない無精髭で覆われていたのだ。 3日しか不在にしなかったのに、彼女が長い事居なかったような様子で、 彼は酷く疲れていた。

ライアンは彼女を抱きしめ、「イェ、これ助けてくれないか」と懇願した。

彼の辻褄の合わない言い方を聞き、大きなプレジェクトを抱え込んでいるだと知った。 会社一体となり作業し、5回も見直しをしたのにも関わらず、クライアントを満足させることが出来ないでおり、 社内の皆が苛立っていたが、ライアンはそれ以上だった。

彼の会社はかなり前に設立された。 しかし、彼が失敗したのはこれが初めての経験だった。

「このクライアントは誰ですか?」 オータムは眉をひそめた。

「他に誰がいると思う? シャイニングカンパニーだよ…」 ライアンはため息をついて続けた。 「来月8日に会社設立記念日のお祝いがあるんだけど、この会社のワインパーティーを企画してるんだ」

「シャイニングカンパニー?」 チャールズの会社じゃなかったかしら?

「ワインパーティーにしろって言われたんですか?」 オータムは聞いた。

ほとんどの企業がこうやって記念日を祝っている。 一つ目は、それが習慣となっていること。 そして二つ目は会社の為に惜しみなく働いてくれた従業員へ豪勢な食事をご馳走するためだ。 しかし彼女は、スーツを着たチャールズがスタッフ達と次々乾杯しているところを想像できなかった。

だから聞いたのだ。

「おや、まぁ。 そうじゃない」 ライアンは注意深く思い返した。 シャイニングカンパニーはお祝いのプランの依頼をしてきたが、ワインパーティーとは言っていなかった。

「よし、会社の書類を渡してください。 やってみます」 ライアンは数え切れないくらいの礼を言った。 この最優秀なプランナーまで相手を満足させないのなら、彼は間違いなく賠償しなければならないだろう。

それ故、初日からこの宴会の件でオータムは忙しくしていた。 忙しすぎて昼食を取るのも忘れたくらいだ。 ウェンディからの電話により、彼女はそのことに気づいた。

しかし、ウェンディの連絡は心配というより、むしろ借金の催促のようだった。

「オータム、昼食は済ませたの?」 ウェンディは心配している母親のふりをしていた。

もし昨日、自分がチャールズとの結婚を無理強いしていなかったら、きっと彼女の親切に対して感心したと思うが、 今となっては…

オータムはウェンディへの愛情と尊敬を無くしていた。

「何かあったら言って。 今、 仕事で忙しいの」

「何ですって?」 ウェンディが「結婚式の翌日に仕事に行くって?」と叫んだ。

「だから何?」 オータムは冷かに笑った。 「チャールズが私にお金をくれるとでも思うの?」

「彼がそうするのは当たり前でしょ、あなたは彼の妻なのよ」 ウェンディがそう呟いた。 しかし、オータムはそんなナンセンスな言葉を聞いている時間はなかったので、 ウェンディの言葉を遮った。 「私にどうして欲しいの? 言わなければ切るからね」

「待って、待って、切らないで…」 ウェンディが止めようとした。 正直、ウェンディはオータムの事など気にしていなかった。 彼女が知りたかったのは、チャールズとの約束がどうなっているかということだ。 「オータム、あなたはもう彼と結婚したのよ。私の義理の息子に約束はどうなっているのか聞いて。 いつ約束を果たすの? あなたの祖母は… 次の段階の医療費が支払われるのを待っているのよ」

オータムは先が白くなるほど指を握りしめた。 彼女はウェンディと衝突することなく、感情をコントロールしようとした。 「安心しろ。私、約束は守るから。 でも、もし祖母に何かあったら、あなたを破滅させるから。 覚えておいて」

ウェンディが彼女の機嫌を取るような声で、 「彼女のことは心配しないで。 彼女は私の義理の母でもあったし…」と言った。

オータムは手短に会話を終わらせた。

家族の絆が良くなれば、と夢見たこともあったが、今では何も望んでいなかった。

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1 第1章わかったわ!彼と結婚するわ!2 第2章契約書3 第3章仕事に戻る4 第4章レイチェル・バイの計画5 第5章同居6 第6章プレゼンテーション7 第7章家8 第8章一体どうしたのだ9 第9章私の事、愛してる? 10 第10章トップ記事11 第11章私をかばった夫、チャールズ12 第12章初めて、シャイニングカンパニーへ13 第13章忙しい?なにに? 14 第14章レイチェルかオータムか15 第15章彼女を首にして!16 第16章レイチェルからの警告17 第17章ポーラのアフタヌーンティー18 第18章ディナー19 第19章新企画部長は誰に20 第20章酔っ払い21 第21章大家族でのディナー22 第22章彼女の話を遮る23 第23章変わったいとこ24 第24章チャールズの義理宅への訪問25 第25章イボンヌがチャールズを取り戻す26 第26章ボーイフレンドか男娼か27 第27章ルー夫人28 第28章別れ29 第29章ゲイリーの怒り30 第30章一千万円を貸してください31 第31章一緒に寝る32 第32章デートの日33 第33章邪魔者34 第34章甘い汁を吸ったのに文句言う35 第35章チャンスをくれ36 第36章クリスとチャールズの対決37 第37章オフィスでの冷やかし38 第38章ポーラの権力闘争39 第39章退職40 第40章ポーラの大失敗41 第41章できることは何もない42 第42章ルー夫人に教える43 第43章どうにもならない奴44 第44章真実45 第45章お前を養う46 第46章オフィスに戻る47 第47章彼女は戻ってこないだろう48 第48章はめられる49 第49章店での口論50 第50章真実は勝つ51 第51章偶然52 第52章夫の嫉妬53 第53章ロマンチックなキス54 第54章リトル・イェ55 第55章欲しいものを追え56 第56章新人研修57 第57章感謝58 第58章一緒に来て59 第59章秘書部内の嵐60 第60章リンダの非常な親切61 第61章チャールズの意図62 第62章彼女は行けない63 第63章ソンさん64 第64章我慢65 第65章明らかな嘘66 第66章サムがオータムを守る67 第67章まだ終わっていない68 第68章公の場での発表69 第69章チャールズの負傷70 第70章チャールズ、病院で71 第71章交渉72 第72章サムとの個人面談73 第73章クリスの失恋74 第74章レイチェルの帰国75 第75章チャールズの退院76 第76章ゲイリーからのアドバイス77 第77章浴室で78 第78章彼女の魔法79 第79章敵対的なナンシー80 第80章ナンシーの謝罪81 第81章辞任82 第82章秘書採用中に知人が83 第83章チャールズとのディナー84 第84章イボンヌの意図85 第85章イボンヌの提案86 第86章オータムの退職87 第87章再びグー家へ88 第88章祖母のビデオ89 第89章サム、真実を知る90 第90章彼の後悔91 第91章グー家での夕食92 第92章言い合い93 第93章オータムを送りに空港へ94 第94章シンディ95 第95章シンディの両親96 第96章アレルギー97 第97章病院で98 第98章子守り99 第99章ぎこちない夕食100 第100章ホテルの火災