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替え玉の花嫁

替え玉の花嫁

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第1章わかったわ!彼と結婚するわ!
文字数:3550    |    更新日時: 22/02/2021

イボンヌ・グーが結婚式から逃げだした! マスコミで取り上げられているこの結婚式は、21世紀最大の結婚式であるはずだったが、 今となっては、世間の笑い種になってしまう寸前だった。

オータム・イェは鏡で自分の姿を見て、 床に置かれているウェディングドレスを力強く踏んだ。 イボンヌが滅茶苦茶にしたのに何故私が解決しないといけないの?

「もっとやったら! まだ怒ってるなら、踏みつけれるドレスが後10着もあるわ!」 オータムの母親であるウェンディ・イェが厳しい顔つきで彼女を見た。

オータムの心が沈んでいった。 彼女は立ち尽くし、呼吸を整えてから話し始めた。「お婆様の医療費を払うお金が必要なの。 お金が入り次第イボンヌの代わりに、チャールズ・ルーと結婚するわ」

歪んだ微笑みを浮かべながらウェンディは携帯を取り出し、秘書に電話をした。「チャンさん、病院の理事に連絡をとって」

電話を切った後、ウェンディは振り返ってオータムの方を見た。 素朴なウェディングドレス姿のオータムをうんざりとした顔で見て、 ハサミを手に彼女に向かって歩いて行った。

ウェンディは落胆した表情でハサミを持ち上げながら言った、「そんな顔で見ないでよ。 あなたは私の娘だけど、あなたを見るたびにあの役立たずな父親を思い出すわ。 あなたを見捨てた事を責めないでね。 人間は我が儘になって自分の事だけ気にすればいいのよ」

ウェンディはオータムのドレスを切り、袖に大きな穴を開けた。

そして部屋の外で待っている担当者の方を向き、「ボケっと立ってないで。 ウェディングドレスが破れてるわ。 新しいのを持ってきてあげて! 私のイボンヌは一般人ではないのよ。 彼女は一番素敵なウェディングドレスを着るべきだわ」

オータムは鼻を引き攣らせた。 ウェンディが自分が彼女の娘だと初めて認めたからだ。 しかしそれは、ウェンディが世間にイボンヌが彼女の最愛の娘であり、オータムはただの代理だと公表したことにより落胆させられた。

オータムはひび割れた下唇をかみ、小馬鹿にしたように笑った、「私の父親は確かに頼りない男性だったけど、あなたみたいなグー叔父の愛人になるような女性と結婚したんだもんね。 まぁ、あなたがしたみたいに、別の女性がグー叔父を誘惑してくれるといいけど」

「お黙り! なんてことを!」 ウェンディは激怒し、 手を振り上げ、オータムの右頬を叩こうとしていたが 、オータムの完璧に仕上げられた化粧を見て、 彼女の魅惑的な美しさに落ち尽かされた。 「今日はあなたと言い合いはしないわ。 とにかく、さっさとチャールズと結婚して、騒ぎを起こさないで! グー家とイボンヌに恥をかかせないでよ!」 ウェンディが断固とした態度で言った。

オータムはにやにやと笑った。

チャールズ・ルー? その男は金持ちで権力があった。 1年中毎日違う女を連れているほど、 無数の女性と関係づけていた。 「なぜチャールズはイボンヌと結婚したいのかしら?」 オータムは不思議に思った。

「騒ぎを起こさずに、この結婚式を乗り切ればいい! あなたはチャールズを知らないけど、結婚式はかなりのものよ。 あなたを見捨てた事は本当に悪いと思ってるわ、でも裕福になるんだし、これからはいい人生を送れるわよ。 昔の事は忘れて、新しい人生を送りなさい!」

母親のその言葉を聞き、オータム・イェは長い事押し隠していた感情が涙になり湧き出てきた。 涙が頬を伝い流れ落ちた。 「獰猛な虎ですらこの母親のように自分の子供を扱わないわ」 と、彼女は思っていた。

オータムはまだ体の震た状態で荒々しくウェディングドレスを掴んだ。

「わかったわ! 彼と結婚するわ! イボンヌの代わりにチャールズ・ルーと結婚することを約束するわ。 でも… 今後、私はあなたの娘ではないわ。 だから私の人生の邪魔をしないで。 それに、お婆様に何かあったらあなたのことは許さないから!」

「あなたがチャールズ・ルーと結婚さえしてくれれば、あなたの言う通りにするから」

ウェンディがオータムにこれほど親切だったことはなかった。 彼女はオータムをチャールズに差し出せるのであれば何でもした。 数年後、オータムがこの出来事を思い出し、思いもよらなかった運命に思わずため息を漏らした。 彼女を絶望に落としたこの結婚式は、後々、彼女の人生を守る重大な事となった。 彼女が思いもよらなかった出来事が起こり始めた。

「結婚式が始まります。 新婦さん、急いでください!」

結婚式は予定通りに行われた。 白いウェディングドレス、レッドカーペット、花、そしてゲスト… その結婚式は映画で見るような華やかなものだったが、 オータムの心は氷のように冷たかった。 彼女は無表情だった。

豪華な結婚式だったにも関わらず、彼女は夫の顔すら見たことがなかった。 出席者たちは微笑んでいたが、オータムは周りにいる皆が式の初日に夫に愛されていない自分を嘲笑っていると感じていた。

チャールズが彼女の手をしっかり握っているにも関わらず、彼女は彼と話をしようともしなかった。 式の後、チャールズは乱暴に彼女の手を振り解いて言った。「先に帰るんだ。 俺は終わらせないといけない仕事がある」

チャールズの運転手がオータムを送り届けた。 彼女は運転手にチャールズがどこへ行くのかを聞いた。 運転手はチャールズがどこに居るのかよく知っているようだし、彼女に言わないような指示も受けていないようだから、 無関心に「リリーヴィラ」と言った。

「リリーヴィラ?」 確かにセレブのレイチェル・バイがリリー・ヴィラに住んでいるという噂があった。なるほど。 オータムはそう考えながら無関心な笑顔を見せた。 レイチェル・バイが私の夫となった男のガールフレンドだと言う噂は本当だったようだ。 今この瞬間にも、チャールズはレイチェルを抱きしめ、そして宥めているに違いない。 つまり、チャールズには既にガールフレンドがいたのだ。それで、彼が私の提案を受け入れるのはそんなに困難ではなかっただろう。

オータムは長い間チャールズをウェディングルームで待っていた。 その部屋は結婚式ムードで飾られいたが、オータムはそんなロマンチックな気分ではなかった。

彼女はチャールズは今夜は戻ってこないだろうと思ったので、 着替えをし、気分転換をしようと浴室へ向かった。

彼女は肉体的にも精神的にも疲れていたので、浴室で長い時間過ごした。 今日は色んなことがあり過ぎ、じっくり考えたかったからだ。

浴室の温度は高く、鏡は蒸気で曇っていた。 オータムは混乱していた。

ウェンディ、イボンヌ、チャールズそしてレイチェルのことが頭から離れなかった。

考えれば考えるほど、彼女はより混乱になった。

温かい湯船に浸かり落ち着きを取り戻してから、 彼女はタオルで身を包み、 別のタオルで髪を拭いた。 浴室から出て来た時、チャールズがまっすぐ自分を見ているのに気がついた。

部屋は暗く 壁ランプだけが点けられていた。 しかし、部屋のその暗さは無表情なチャールズよりましであった。

この20数年の人生で、男性の前でこれほど体をあらわにしているのは初めての事だった。

彼女はチャールズを見るや否や、服を取りに向きを変えた。 しかし、チャールズは彼女を捕まえ、 ベッドに投げ入れた。 「お前、どうしても俺と初夜を過ごしたいようだな??」 チャールズがバカにしたような口調で言った。

彼女の体はタオルで覆われているだけで 濡れた髪からは水滴が落ちていた。 分厚い結婚式用メークは既に洗い落とされていたが、チャールズは彼女の素顔から目を離せなかった。

チャールズは彼女の体から石鹸の香りがするのに気がついた。 その石鹸は彼がいつも使っているものであったから、 彼のにおいが彼女に付いていると感じ、彼の欲望に火をつけた。

が、レイチェルの涙目が頭に浮び、すぐに落ち着きを取り戻した。

彼とレイチェルは2年も付き合っている。 彼女をがっかりさせたくない。

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1 第1章わかったわ!彼と結婚するわ!2 第2章契約書3 第3章仕事に戻る4 第4章レイチェル・バイの計画5 第5章同居6 第6章プレゼンテーション7 第7章家8 第8章一体どうしたのだ9 第9章私の事、愛してる? 10 第10章トップ記事11 第11章私をかばった夫、チャールズ12 第12章初めて、シャイニングカンパニーへ13 第13章忙しい?なにに? 14 第14章レイチェルかオータムか15 第15章彼女を首にして!16 第16章レイチェルからの警告17 第17章ポーラのアフタヌーンティー18 第18章ディナー19 第19章新企画部長は誰に20 第20章酔っ払い21 第21章大家族でのディナー22 第22章彼女の話を遮る23 第23章変わったいとこ24 第24章チャールズの義理宅への訪問25 第25章イボンヌがチャールズを取り戻す26 第26章ボーイフレンドか男娼か27 第27章ルー夫人28 第28章別れ29 第29章ゲイリーの怒り30 第30章一千万円を貸してください31 第31章一緒に寝る32 第32章デートの日33 第33章邪魔者34 第34章甘い汁を吸ったのに文句言う35 第35章チャンスをくれ36 第36章クリスとチャールズの対決37 第37章オフィスでの冷やかし38 第38章ポーラの権力闘争39 第39章退職40 第40章ポーラの大失敗41 第41章できることは何もない42 第42章ルー夫人に教える43 第43章どうにもならない奴44 第44章真実45 第45章お前を養う46 第46章オフィスに戻る47 第47章彼女は戻ってこないだろう48 第48章はめられる49 第49章店での口論50 第50章真実は勝つ51 第51章偶然52 第52章夫の嫉妬53 第53章ロマンチックなキス54 第54章リトル・イェ55 第55章欲しいものを追え56 第56章新人研修57 第57章感謝58 第58章一緒に来て59 第59章秘書部内の嵐60 第60章リンダの非常な親切61 第61章チャールズの意図62 第62章彼女は行けない63 第63章ソンさん64 第64章我慢65 第65章明らかな嘘66 第66章サムがオータムを守る67 第67章まだ終わっていない68 第68章公の場での発表69 第69章チャールズの負傷70 第70章チャールズ、病院で71 第71章交渉72 第72章サムとの個人面談73 第73章クリスの失恋74 第74章レイチェルの帰国75 第75章チャールズの退院76 第76章ゲイリーからのアドバイス77 第77章浴室で78 第78章彼女の魔法79 第79章敵対的なナンシー80 第80章ナンシーの謝罪81 第81章辞任82 第82章秘書採用中に知人が83 第83章チャールズとのディナー84 第84章イボンヌの意図85 第85章イボンヌの提案86 第86章オータムの退職87 第87章再びグー家へ88 第88章祖母のビデオ89 第89章サム、真実を知る90 第90章彼の後悔91 第91章グー家での夕食92 第92章言い合い93 第93章オータムを送りに空港へ94 第94章シンディ95 第95章シンディの両親96 第96章アレルギー97 第97章病院で98 第98章子守り99 第99章ぎこちない夕食100 第100章ホテルの火災