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第4章彼に知られてはいけない
文字数:2990    |    更新日時:20/02/2021

「どうせ踊らなくてはならないのですから、適当に私と踊ってはいかがでしょう?グー様」

カーは数秒の間、深い色をした目でニコールを見つめていた。 そして、彼女の手を取ると、ダンスフロアの真ん中に連れて行った。

ダンスは二人の身体が触れるほど近く、ニコールの心に何か不思議な感覚がした。 それを抑えながら、巧みにそしてエレガントにカーのステップに合わせてステップを踏んだ。

こういう時に、彼女がカーの顔を潰そうものなら、 絶対に殺される!

数か月だけれど、カーと一緒に仕事をしただけである程度、ニコールは彼のことが分かっていた。 とてもハンサムで裕福な男でしたが、恐ろしい裏の顔があった。 彼は政府だけでなく犯罪組織にも権力を持っていて、影響力もあった。 しかし、それと比べて、見た目よりもはるかにすべてにおいて威圧的な彼自身のほうがより恐ろしかった。

感情が薄く冷淡なこの男の冷酷さは運命づけられていたからだ。 誰もが恐れを抱かずにはおれないほどだった。

それでも、ニコールは自分をすぐに冷静さを取り戻すことができた。 「彼の裏の顔は私とは関係がない」と、彼女が楽観視していたのだった。 あくまで、カーは会社のボスでしかない。 仕事をしっかりやっていれば、この男を恐れる必要もない。

「何を考えているんだ?」 突然、ニコールを怖がらせるようなカーの深い声があたりを満たしている。

ニコールは目を上げると、そこには無関心な気配をさせながら彼女を見つめているカーがいた。

心の中では白目をむいたが、表向きには微笑み返したニコールは話した。 「様々なことを考えています。 私の達成したビジネスは大したことがないのですが、グー様は私をとても親切に扱ってくださっています。 本当に感謝しております」

彼女の声は低くて優しかった。 それに、彼女の身体があまりにも近いから、カーは熱くなり始めてきていた。

だが、彼はそのままの冷たい声でこたえた。「報奨と罰を明らかに区別しておきたいのでね、それだけだ」

話が終わった途端、曲も終わった。 ニコールはさりげなく返事をしようとしたところに、カーの携帯が鳴り始めたので、画面を見て眉を顰める彼はすぐにその場を後にした。

カーがあまりに突然去っていくので、ニコールは肩をすくめると、安堵のため息をついた。

毎日、自分はカーという冷血な悪魔によっていじめられているような感じがしていた。

もう夜の9時だったが、そのパーティーはまだまだ盛り上がっていて、帰ろうとするような人はまだ誰もいなかった。 ニコールはジェイが心配になって、バーロンにこっそり電話をかけた。

「安心しろ! ジェイはとても頭の回転が速くてね。 今は僕の部屋の本を読んでる!」

バーロンのこの言葉を聞くと、ニコールは誇らしくて笑わずにはいられなかった。

「9時半になったら、コップ一杯の温かいミルクを渡して、忘れずに寝かしてやってね」と、彼女は優しい声でいった。

「分かってるよ。 これが初めてじゃないからね!」 バーロンの声は電話口で優しく響いていた。

そして、こう続けた。「もうかなり遅い時間だ。 迎えに行こうか、そしてジェイと君を家まで送ろう」

ニコールは戸惑うことなくすぐに彼の提案を断って、電話を切った。 友だちとの関係がどれほど親密だったとしても、彼にそれほどの迷惑をかけることはできないと彼女が思っていた。 電話を切った後、自分は噴水のあるところまで歩いてきていてそこに座ったことにニコールは気づいた。 すると、冷たいそよ風に吹かれて震えた彼女は、 なるべく早く暖かい会場へ戻ろうことに決めた。

その時だった、カーの声が聞こえた。

「子ども?」 彼は笑ったが、その声はとても恐ろしく聞こえた。 「子どもで俺を脅そうと思っているのか?」 その電話の向こうで話している相手に向かって彼はきいた。

ニコールは声がする方へと向き直ると、桐の木の下で立っているカーの姿を見た。

その時の暗闇では、彼の顔を細かく見る事は出来なかったが、その声が軽蔑を表しているのは明らかだった。

「まったく! 本当にろくでなしだなあ。 女の人に妊娠させておいて、しかもその子供の責任を負うこともしないような人なんて」と、ニコールの怒りと嫌悪感が頭の中に溢れていた。

まるで「ろくでなし」の称号を証明しているかのように、カーは続けていった。「俺から他に何か得られるとでも夢にも思うんじゃないぞ。 5分後に、アシスタントが一億円をそっちへ送金するから。 あとはどうすればいいかは解ってるだろうな。 それから警告しておく、馬鹿な真似をするんじゃないぞ。 後で何かあったら、ただじゃおかないからな」

夜のそよ風に吹かれていても、カーの声ははっきりと大きく響いた。

「中絶しろ」とうとう、彼は言い放った。

「最悪だ。 思った通りの男だ、あまりにも冷酷すぎる!」 ニコールは自分だけに聞こえるようにつぶやいた。

その瞬間だった、カーが電話を切ると、ニコールのほうに向って歩いてきた。 暗闇の中、背の高い姿が近づいているのを彼女は見る事しかできなかった。 胸の鼓動が早くなり、何かが頭の中をめぐり始めるのを感じた。 その次の瞬間には、カーが彼女の目の前に眉をひそめて立っていた。

「なぜここに?」

「中にいたら暑くなってしまったので、 少し外の空気をと思ったものですから」とニコールは瞬きもせずに嘘をついた。 カーは今の電話の会話を聞かれたかどうかなど気にする様子もなく、時計を見た。

「もう遅い時間だ。 家まで送ろう」と彼はいった。

急いでニコールはうなずいた。 なるべく早く家に帰れるのなら、彼女はカーと同じ車に乗ることは厭わなかった。

「リバーサイドガーデンまで送ってください。 お願いします」

「リバーサイドガーデンだって?」

カーはその家は会社が彼女に用意した場所ではないことを漠然と覚えていた。

ニコールは彼が不思議そうにしていることに気づくと、さりげなくこう付け加えた。「今夜はこちらへ来るために、息子を友人宅に泊めてもらっているんです。 迎えにいかなくては」

カーはうなずいた。 なぜだか、彼は心の隅にわずかな喪失感を覚えた。

彼女は結婚しているのか? 夫は誰だ? 彼は疑問に思い始めた。

そして、二人は静かに車に乗りこんだ。 カーは座るとすぐに、電気を消すようにと運転手に命じた。 そして、座席にもたれかかって目を閉じて休んでいた。 そのすぐ隣で、ニコールはまるで針山にささったような気分だった。 カーのことを考えれば考えるほど、彼女は動揺していた。

彼の姿とその態度が7年前のあの男性とそっくりだったから!

その男は、耳たぶのあたりにとても小さなほくろがあったことを思い出したニコールは、 恐ろしさに息をのんで、明るくするために少し車の窓を開けた。

そして、深呼吸をすると、カーへと向き直った。外の点滅するライトでしっかりと彼をみつめた。 眼を閉じているカーはなおさらハンサムだった。 とてもリラックスした姿勢でいたが、それでも冷たさを感じた。 そして… 耳たぶの小さなほくろがそこにはあった。

ニコールはショックのあまり凍りついた。 カーがあの7年前の男だったなんて想像もしていなかったのだ!

だが、とうとうこれまで感じてきた不可解な懐かしさや不安の理由がわかった。 その見知らぬ男の顔を覚えていなかったが、眼を閉じて寝ているカーの顔を見つめていると、彼がその男であることは間違いないとニコールは確信していた。 ということは… ジェイの父親はカーその人だったのだ!

ニコールはジェイが父親の愛情を受け入れて幸せになって欲しいと、これまでその男を探してきたのだったが、そんな考えはこの瞬間に完全に消えた。

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1 第1章ハンサムな見知らぬ男2 第2章帰国3 第3章七年ぶりの再会4 第4章彼に知られてはいけない5 第5章彼女と共に6 第6章見知らぬ女性が嫌だった7 第7章久しぶり8 第8章旧友との再会9 第9章よくも俺の部下に手を出したものだ!10 第10章ゆりかごで息の根を止める11 第11章バカママ12 第12章証拠は破棄し忘れないように13 第13章今度はまた何をやらかした14 第14章頭がいいのは僕のせい? 15 第15章父親と息子の出会い16 第16章俺に抱きつくのが好き 17 第17章彼の息子18 第18章お楽しみの時間19 第19章彼女じゃない20 第20章7年前の娘じゃない21 第21章罠なのか22 第22章俺の愛を独り占めしたいのか23 第23章三人家族24 第24章血を見るのと注射が苦手25 第25章父親になってもらいたい26 第26章命より大切な人27 第27章旧友の帰国28 第28章特別扱い29 第29章彼女の注意を呼び起こす30 第30章大胆にも彼は本当に入ってきた31 第31章あり得ないことはない32 第32章彼の言い分33 第33章新しい学校は気に入りましたか34 第34章ジェイは僕の息子だ35 第35章だから何? 36 第36章彼女との結婚を望む37 第37章親切なグーおじさん38 第38章良い評判の家柄39 第39章ジェイの寝言40 第40章お邪魔ならごめんなさい41 第41章あなたを軽蔑する42 第42章あなたとは関係ない43 第43章何もその事実を変えることはできない44 第44章ろくでなしが二人いる45 第45章俺の女になる運命だ46 第46章あなたじゃない誰か47 第47章彼を誤解していた48 第48章人間それとも、幽霊?49 第49章お嬢さん、あなたは誰50 第50章評判を落としたくない51 第51章選択肢はひとつ52 第52章話に乗るしかない53 第53章いざこざ54 第54章わざと55 第55章目を開けるな56 第56章口約束57 第57章腕に抱きたいのは君だけ58 第58章問題は解決した59 第59章なぜそんなに沢山の女がいるの60 第60章どうして夢を叶えないと言い切れる61 第61章彼女をトラブルに巻き込むな62 第62章食べ物を無駄にしてはいけない63 第63章成功を祈る64 第64章コントロール不能65 第65章ソウルメイト66 第66章私生児67 第67章父子鑑定68 第68章人魚は小さな池では生きられない69 第69章グー家の女主人70 第70章子どもの頃は僕とそっくり71 第71章なぜ服を着てないの72 第72章あなたの選択は私の選択73 第73章彼の腕の中74 第74章今晩、君を待っている75 第75章彼の謝罪を受け入れる76 第76章関わらないで77 第77章俺を好きだと正直に認めろ78 第78章ここから離れたい79 第79章エイブリーとの再会80 第80章犬が噛んだ痕81 第81章彼女だけの秘密82 第82章賭けようとしてるのか?83 第83章グー家の本家にて84 第84章心のままに85 第85章CapítuloRainyNight86 第86章Capítuloあなたのもののどこか87 第87章Capítulo良い話88 第88章CapítuloGoHome89 第89章Capítulo私は自分が間違っていることに気づきました90 第90章Capítulo彼女の夢から目を覚ます91 第91章Capítulo意味のないもの92 第92章Capítulo自動車事故93 第93章Capítuloジェイは元気になります94 第94章Capítulo輸血95 第95章Capítulo約束を守ります96 第96章Capítuloジェイは痛くない97 第97章Capítulo彼を押しのける98 第98章Capítulo別のスパイ99 第99章Capítulo入札イベント100 第100章Capítulo失神