私のCEOであるパパ
作者谷田部 崇博
ジャンル御曹司
私のCEOであるパパ
ジェイ・ニンは人見知りであまり知らない大人になつかない子どもだった。 なので、彼がいつもと違う行動をとっているのを見て、ニコールは不思議に感じていた。
彼女は、食器を洗いながらも、カーになついている息子のことを考えると少し不安になりつつあった。
「ニコール、こっちは大丈夫?」
カーがニコールに声をかけると、彼女はまだ器を洗いつづけていて、自分の声が聞こえていないようだったので、彼はすごく近くまでいった。
ただ、それが逆にニコールを驚かせてしまったのはカーは思いもよらなかった。別に彼女にそれほどびっくりさせるつもりはなかったからだ。
「ぎゃあ!」 ニコールは、カーに気がついて思わず器を落としてしまった。
濡れたまま落とした器が原因で、床は水浸しになってとても滑りやすくなった。だから、ニコールは身体をカーに向かって振り向いた瞬間、すべってカーの腕の中へと飛び込んだ。思わず彼女は目を閉じた。
すぐそばまでカーが来ていたおかげで、彼女は転倒せずすんだ。 思わずカーは笑いながら、言った。 「俺に抱きつくのが好き?」
カーの腕の中にしっかりと抱きしめられているニコールは、彼の話に乗るのを避けた。
「そういうことじゃありません! あなたが私を驚かせたから、怪我するところだったじゃないですか」 ニコールは若干、腹を立てていた。
バーカウンターに手をかけて、彼女はまっすぐ立つことができたが、恥ずかしさで顔が赤くなっていた。
「以前にも同じことがあったけど?」 カーはしっかりと彼女の目を見つめていたが、逆にニコールは彼の目をみることができなかった。
カーの手は、そのまま彼女を力強く彼の身体に近づけようとしていたので、二人はだんだんと密接になりつつあった。