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第12章証拠は破棄し忘れないように
文字数:3823    |    更新日時:08/04/2021

「いいえ、息子が作ったものです」

口からその言葉が出た瞬間、ニコールは舌を噛みそうになって、 いった言葉を取り消したい気分だった。 ジェイのことを話に出すべきではなかったのだ。 彼女から息子の話など、すべきではない。 もしカーがジェイに関心をもってしまったら、それは彼女にとって困ったことになる。

その言葉はカーにとって驚きだったのか、彼は何も言わなかった。 ただ、恐れをなしているニコールは少しかわいく見えたと思った。

「どうした?何を待っている? まだ食べたいのか?」

まるで判決を待っている犯罪者のような気分だったニコールは、 カーはただサンドイッチを手に取って見てから、またテーブルの上に戻したのを見て、彼が怒っていないと判断してから、 ほっとして深いため息をついた。 質問に答えようと、大急ぎで手を横にふった。

「いいえ、もうお腹がいっぱいです」と、ニコールは何事もなかったかのように答えた。

カーは分かったと頭を縦にふって、出てもいいと伝えた。 そして、ニコールは冷静に、机の上にあるフォルダを受け取ると、部屋を後にした。

ドアを閉めようとした瞬間、背後からカーの声がした。

「次に事務所に食べ物を持ち込むときは、証拠は破棄し忘れないように」

何をいっているか正直解らないので、ニコールは彼の部屋を出た。

すると、部屋の外で立っているジャレドを見た。 彼は自分の方に同情の目を向けていた。

「どうしてバレたんでしょう? ジャレドさん」 ニコールは眉をひそめて、困惑した表情をした。

自分は朝食をとっているところを目撃されたのはジャレド一人しかいなかったが、まさかカーが自分のやったことを発見するとは思ってもみなかったのだ。 ジャレドはその後、カーに話した時間がないのに。

ジャレドはすぐさま、自分の口元を指さした。

「口の端に食べ物がついていたら、それは社内の誰だってわかりますよ」 ジャレドは笑いそうになるのを我慢した。

もっと早くに伝えようとしたのだったが、ニコールはそれをいわせる時間をくれなかったのだった。

こういわれて、恥ずかしくなったニコールはそっと自分の手の甲で口元を拭いてみた。 レタスの葉っぱが小さくついていたのだ。 カーがいった言葉を思わず理解して、ぎこちなくその場を立ち去ることにした。

その間、弁当箱の中のサンドイッチをカーは見ていた。 味見をしたくなって、我慢が出来ず、手を伸ばして一口食べてみた。 その味にカーは驚いた。 幼い子供が作ったとは思えない、見た目も、味も。 しばらくの間、ニコールが話していた息子にも興味を持ち始めた。

「ジャレド!」

話が終わった瞬間、ジャレドは入ってきた。

「朝食を用意してくれ、ニコールに渡すように。 君ならどうすればいいか分かるだろう」

ジャレドはカーの表情を見て、彼の心をすぐに理解した。 そしてうなずき、すぐに部屋を出た。

しかし、彼の心にはたくさんの質問を抱えていた。 混乱するなどということは彼にとってとても珍しいことだった。 彼は、何をすべきかいつも判断できていた。まさか自分のボスが誰かにこんなに優しくしているとは、驚くべきことだった。 まるでこの世の終わりが来るほど驚いた。

カーはニコールのサンドイッチを食べてしまったので、何か朝食を用意して返さなくてはと考えていた。

他の人に借りを作るのが嫌いだったからだ。

カーは、実際ニコールには多くの借りを作っていることを知らなかった。 それを知ったとしても、もはや手遅れだ。

ジェレドはニコールに朝食を渡してすぐに戻ってきた。 カーはサンドイッチを全て食べていたことに気がついていなかった。

「ソーグループのグレゴリー・ソーを調べて欲しい。 7年前にニコール・ニンと彼の間に何があったのかを知りたい。 それから、フィオナ・ジャオという女性が関与していた事実についても調査しろ」と、カーはいった。

3人には秘密があるようだった。 昨夜、7年前の話をしていたとき、カーはあの忘れられない夜のことを思い出していた。

引き出しの左側にある1番目の引き出しを彼は開けた。 その中に封筒があった。 その封筒を手に取ると、カーは開けて中のお金を数えた。 41,827円。 彼は報酬を支払われたのだろうか? また考え込んでしまった。

封筒は引き出しの中に戻して、カーはふと卓上のカレンダーに目をやった。 金曜日だった。明日は翌月の初日だ。 そして6月1日は子どもの祝日だと その時突然カーは思った。

そして、「グー遊園地のチケットを、人事部に用意させるように。 子どものいる従業員は一人2枚チケットを受け取れるように手配しろ」と、ジャレドに指示を出した。

ジャレドは驚いてカーを見た。 いったいグー様はどうして急にそんなに優しくなったのだろう。

このグーグループは金融グループとして市内で最大であり、利益を寛大に社員に分配した。 しかし、有名な世界的なエンタテインメントテーマパークであるその遊園地のチケットは、高価で需要もとても高い。 そこの遊園地に入れる人は市内の中でも裕福な人たちだけだった。

そのような場所で遊ばせる特権を一般の従業員に与えることは大変珍しいことだったのだ。

「すぐに知らせることにいたします」

ニコールが事務所で真剣に提案書を作成していた。 そこへ、彼女のアシスタントであるリリーがドアをノックして、許可を得てから事務所の中へと入ってきた。 リリーはその遊園地のチケットについての知らせを嬉しそうにニコールに報告した。

「ニンディレクター、グー様が 手配してくれたようです。 お子様がいる従業員全員に、子どもの日にグー遊園地へ遊びに行けるチケットを2枚配るのだそうです。 息子さんがいらっしゃると聞いていますので、チケットを2枚受け取っておきました」と彼女はいった。

リリーの声は興奮していた。ニコールはグーグループの特別なロゴのついているチケットをちらりと顔を上げてみた。 でも、彼女には興味がなかった。

「どうぞ、使っていいですよ。 私の息子はあまりそういうところが好きではないの」

ニコールは急にマンハッタンでの出来事を思い出した。 アミューズメントパークへジェイを遊ばせに連れて行ったのに、ジェイは母親が楽しそうにしているのをただ見ているだけだった。 母親として、とても自己中心的に感じて、恥ずかしいと思ったものだった。

ジェイは、子どもたちの列に並んでいる大人は母親だけだと指摘した。

それよりも、仕事があふれていて、明日は家で仕事をしたほうが良かったと彼女が思った。

リリーは手に持ったチケットを嬉しそうに眺めていた。 そして、良いのだろうかとニコールに目を向けた。

「本当にディレクターは、これを欲しくないのでしょうか?」 ニコールはただ首を横に振っただけだった。 「ニンディレクター、有難うございます」 と、リリーは喜びでいっぱいだった。

リリーは若く、まだ子どももいなかったので、グー遊園地のチケットは受け取れなかったのだ。 まさかニコールが寛大にも自分の分のチケットを誰かに回すとは思わなかった。この遊園地のチケットはあまりにも高価で量が少ないから、お金だけでは手に入れるのは無理だった。

リリーがスキップをしながら歩いていくのをみながら、ニコールはため息をついた。

実は、ジェイが普通の子どものようにふるまうことを期待していたのだ。 しかし、生まれたその時から、ジェイはほかの子供と違って、多くの子どもたちが持つようなワクワクとして、遊んでばかりいるような特質を併せ持たなかったのだ。

そのうち、ジェイを迎えに行く時間になった。 ニコールは荷物をまとめていて、家でする仕事も入れ終わった。 ジェイが学校が終わる前に、学校へついていたいと思っていたため、彼女が急いでいた。 すぐに、彼女は学校の外に他の親たちと一緒に立っていた。 息子が学校の門を歩いて出てくると、ニコールは必死に手を振った。

「ママ!」 ジェイは、うれしそうな声を張り上げた。

そして、ニコールの元へと走って手を握り締めた。

「明日は子どもの日よね、ジェイ。 一日ずっとママと一緒に家にいてもいい? さて、明日は何をしようかね?」 ニコールはジェイに質問した。

ほとんどの場合は、彼女はジェイが考えていることは分からなかったし、逆に、ジェイはいつも母親の考えていることを見て取れた。 ニコールはそれが嫌だった。

「それでいい。ママと一緒に家にいたい」

ジェイはニコールを見上げながら、嬉しそうにいった。 息子の笑顔は暖かさと満足さで溢れていた。

ジェイはいつも大人しくしていて、ニコールへ迷惑をかけない子供だった。

「じゃ、何か美味しいものを作るってのは? 今からスーパーへ行くわよ」

ニコールは手を伸ばしてジェイを抱きしめようとしたのだったが、それはさらっと断られてしまった。

「ママ、もう大きくなったんだから。 いつまでも抱きしめて貰ったら、おかしいよ。 代わりに、手をつないでもいいよ」ジェイは大人っぽく手を差し出した。

ニコールはどんだけ大人っぽく賢い息子なのだろうか、信じられないというように頭を横に振った。

ジェイが子どもとして立ち振る舞うのは難しいことを母親として、よく知っていた。

「一緒にスーパーへ買い物へ行こうとなぜ電話してくれなかったんだ?」

バーロンがいった。 白いシンプルなシャツを着ていた彼は、 車のドアにもたれかかりながら、ニコールを優しくみつめていた。

ニコールが帰国してからというもの、滅多に彼女には会っていなかった。 ジェイのことで何か困ったら、彼に電話をしただけだ。 ただ、ジェイはそれほど手のかかる子供ではなかった。

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