CEOの彼の罠に落ちた
作者繁昌 空
ジャンル御曹司
CEOの彼の罠に落ちた
ローラとウェンディが倉庫に入ると、おもむろにウェンディはダウンジャケットの入った段ボールを何箱か引きずり出した。
昨年のダウンジャケットの箱だ。引き出したことで舞った埃でローラの息がつまった。 しかし彼女はすぐさまウェンディが引き出した黒い段ボール箱を開け、次々にダウンジャケットを取り出してハンガーラックに掛けていった。 あっという間の数時間だった。 午後の3時。それは通常では朝シフトの終了時刻で、ローラとウエンディの退勤時間でもあった。
午後3時30分になっていた。
しかし、二人に退勤時間であることを告げる者はいなかった。
「あの女に、どうやって我慢できたの?」 ローラは力を振り絞ってダウンジャケットが入る大きな段ボールをオープンスペースに引っ張りだしながらそう言った。 倉庫にはエアコンはなかった。ローラもウェンディも汗まみれで作業していた。
「ホント言うとね、ローラがここで働く前からイレーヌは良くはなかったけれど、今ほど悪くはなかったのよ。 なんて言うか、今は前からあった嫌がらせというよりは…ローラに何か恨みを抱いている気がするのよ。何か心当たりはある?」 それはイレーヌからの嫌がらせとも思える指示を受けるなかで、ウェンディが疑問に感じていたことだった。
「イレーヌはサラのいとこなのよ。」 以前会ったとき、イレーヌのローラに対する態度はお世辞にも良いとは言えなかった。ましてやこの女の部下となった今だ。