替え玉の花嫁
作者羽間 里絵子
ジャンル恋愛
替え玉の花嫁
オータムはレイラを思いとどまらせる為に、しばらく思考していた。「一時的な衝動に駆られないで。 あなたはまだ若いんだから、ここに残って働くべきなのよ。 ここで十分な経験を積めば、いい仕事に就くことが出来ると思うわ。 今、私と一緒に退職するのは… いい考えだと思わないわ」
彼女はレイラに握られている手を離し、さらに言った。「私、行かないといけないの」
「イェ、イェさん…」レイラがどれだけ叫んでも、オータムは振り向かずその場を去った。
だが、レイラを拒否した事が、後々ポーラからの仕返しに加担する事になろうとは、オータムは知るすべもなかった。
オータムが去った後、ライアンは怒り立っていた。 だが、ポーラはまだ彼のオフィスのドアをノックしようとしており、 そして、彼の怒りに任せた声を聞いた。「消え失せろ! 俺を邪魔するな」
「チョウさん …!」 それでもポーラは歯を食いしばり、オフィスのドアを押し開けた。
「俺は、消え失せろと言ったはずだ。 お前は耳が聞こえないのか?」 ライアンは険しい表情で言った。 他の人だったら怖気ついてしまうだろう、でも、ポーラは敢然と立ち向かう決意をし、オフィスの中に入って行った。
「チョウさん。 私はあなたが動揺している事は分かっています。 私は改心しにここに来たんです」 ポーラは瞬きもせずに言った。