替え玉の花嫁
「イボンヌ、初めてのご来店で私どもの特別料理をご存知ないと思いますので、 私の方で数品注文しておきました。 お口に合うといいのですが」 エリックが真心を込めてオータムにレストランを紹介していたので、チャールズは益々不満気な顔をした。
エリックの優しい対応に慣れないので、オータムも突然ぎこちなく感じた。
運の良いことに、エリックはチャールズの事をよく知っており、これ以上彼らの邪魔をすれば彼から仕打ちを受けるだろうと思っていたので、暫く留まっていただけだった。 料理が運ばれて来た時、彼は用を作り立ち去って行った。
オータムとチャールズはその部屋に二人きりになった。 オータムは部屋の中を見回して、気まずくなったが、 チャールズは食事を静かに楽しむことができそうになったので、やっと落ち着いた。
「あの…」オータムは心地悪い沈黙を破るため、咳払いをした。