替え玉の花嫁
作者羽間 里絵子
ジャンル恋愛
替え玉の花嫁
さらに、オータムは怒って言った。 「もし、私がルー夫人でなくて、更にサムと知り合いでなかったら、 あの夜、ソンさんから逃げきれなかったわよね。そうでしょう?」
「あ... それは...」 リンダは黙っていた。 あなたがルー夫人でなければ、 勿論、あなたを逃がさなかったわ。 とリンダは思っていた。
「何故黙っているの? 答えられないの?」 オータムは軽蔑を込めた口調で続けた。 「私はあなたのような意地の悪い女性と話す事など何もないわ。 仕事があるの。どいてくれない?」
書類の山を手に、オータムは立ち上がり、その場から立ち去り、 チャールズのオフィスのドアをノックし、入って行った。
「どうぞ」 チャールズの声が中から聞こえた。 デビッドはサインされた書類を手に取り、チャールズに言った。 「ルーさん、失礼します」
「ああ、 行っていいぞ」 チャールズはペンの蓋を閉じ、目の前に立っているオータムに聞いた。「どうしたんだ?」
「あなたに話したい事があるの」 彼女が真剣である事を読み取ったチャールズは頷き、 彼女を隣に座らせ、「どうした?」と聞いた。