替え玉の花嫁
作者羽間 里絵子
ジャンル恋愛
替え玉の花嫁
「頼むわ!」 とアビーが言った。 オータムが病室に入ると、シンディはベッドに座り大泣きしていた。 彼女の目は泣き続けている事で腫れており、彼女はか弱く、具合が悪そうに見えた。 病室に居る医師は、彼女に近づくことなく距離を置き、彼女の経過を観察していた。
「シンディ...」 オータムは優しく、でも控えめな声で彼女の名前を呼んだ。 動揺していたシンディは、ドアの方から聞こえていたオータムの声を聞いた途端に泣き止み、 オータムの顔を見るなり、驚きながら目をこすり、 そして、涙を拭き、ベッドから飛び降りてオータムに走り寄り、彼女の足に絡みついた。
「お姉さん、どうして私を置いて行ったの?」と呟いた。
オータムは彼女の問いかけに、泣いていいのか笑っていいのか分からずにいた。 彼女はゆっくりしゃがみ込み、シンディの目を見て話しかけた。「シンディ、私はあなたを置いて行ったりなんてしていないわ。 あなたのご両親はあなたの事を目に居れても痛くないほど大切にしているのよ。 私はあなたとずっと一緒には居られないの。でも、私の電話番号を教えてあげるから、会いたい時はいつでも連絡してきていいわよ。 いいわね?」
「でも、お姉さんと一緒に居たいの...」 とシンディはまた泣き始めた。