替え玉の花嫁
作者羽間 里絵子
ジャンル恋愛
替え玉の花嫁
ウェンディが何か言おうとする前に、オータムとチャールズが一緒に化粧室から出てきた。 「お父さん、お母さん、私たちは家に帰るわ。 夕食はもう結構で、 あなた達でごゆっくりどうぞ」
そう冷ややかに言ったオータムに対して、 イボンヌはすぐに反対した。「駄目よ! 一緒に食事をする機会はあまりないのよ。 どうして急に帰ろうとするの」
「どうしてって?」 オータムは遠慮なしに言った。「あなたが熱いスープを彼に浴びせるまで待てと言うの?」
チャールズはオータムが怒っているのを分かっており、これ以上彼女を困らせたくなかったので、 彼女を引き戻し、サイモンとウェンディに言った。 「お義父さん、お義母さん、俺たちは帰ります。数日後にまた訪問させてもらいます。 失礼します。では、これで」
「チャールズ...」 サイモンは立ち上がり、彼らを引き止めようとしたが、ウェンディに止められた。そして彼女は彼らに言った。 「あなた達が帰りたいのなら引き止めないわ。今夜の事は謝るわ」
「次回は素敵な食事を用意しておくから」 今回のウェンディの笑顔は誠実な物だった。