替え玉の花嫁
作者羽間 里絵子
ジャンル恋愛
替え玉の花嫁
「デビッド...」 オータムはルー夫人と呼ばれることで 落ち着かなかった。 彼女は顔を顰め、「イェと呼んでください…」と言った。
暫く躊躇い、デビッドが「それは...」と返答したが、 「チャールズは、会社の誰にも彼女が彼の妻であることを知られたく無いから、 彼女をルー夫人と呼ぶのは不適切な様だな …」 と思って、 頷き、「イェさん」と彼女を呼んだ。
これを聞き、オータムは安心し、明るい表情で言った。 「ルーさんの秘書として、私は何をすればいいですか?」
デビッドは気が動転しており、あわてて答えた。 「ああ… ルーさんの指示に従って、 彼に頼まれた事は全てしてください」 彼は敢えてオータムに任務を割り当てなかった。 何しろ、彼女はチャールズの妻だ。 もし彼女を不快にさせたら、チャールズに責められるだろう。
それに、チャールズは個人秘書の職をこの会社に割り当てていない。 彼が何故妻を会社に連れてきたのか誰も知らない。 そうデビッドは思い返していた。